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2018 年度 実施状況報告書

精神的ストレスによる免疫寛容破綻とアレルギー性疾患発症機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K16212
研究機関東北医科薬科大学

研究代表者

河野 資  東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (20584452)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード喘息 / 精神的ストレス / 免疫寛容 / 幼少期ストレス / Treg / 樹状細胞 / グルココルチコイド / 内分泌
研究実績の概要

喘息をはじめとするアレルギー性疾患の発症には、免疫寛容の破綻が重要であることが明らかとなり、我々もこれまでにマウスのアレルギー性喘息モデルを用いて検討してきた。本研究ではさらに、ストレス負荷で産生される内因性グルココルチコイドと制御性T細胞分化誘導の抑制を中心に検討し、精神的・身体的ストレスによるアレルギー性疾患の病態形成機序の解明と新しい治療法の基盤となる研究を行うことを目的とする。
免疫寛容誘導喘息マウスをもちいて、喘息マウスで認められる喘息気道応答(気道過敏性の亢進、気道上皮細胞の粘液産生増加、気道への好酸球浸潤増加)は、免疫寛容の誘導により抑制されることを確認した。そして、寛容誘の誘導と同時にストレスを負荷すると、喘息気道応答は、再び増加することを明らかにした。この炎症惹起は、気管支肺胞洗浄液に含まれるインターロイキン(IL)-4、IL-5、IL-13の増加を伴い、2型ヘルパーT(Th2)細胞優位な免疫応答により引き起こされていることを明らかにした。この喘息気道応答の変化は、ストレス単独負荷群では認められなかった。これらのことから、精神的ストレスは免疫寛容の誘導を抑制して、抗原感作によるTh2優位な免疫応答を引き起こし、喘息発症を誘発させ易くすることが示唆された。
さらに、免疫寛容の誘導でおこる制御性T細胞(Treg)の増加が、ストレス負荷により抑制されることが明らかになった。また、この制御性T細胞の減少は、成体マウスおよび乳児マウスにおけるストレス負荷においても惹起されることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初目的としていた、モデルの作製をおこなうことができた。さらに現在、精神的ストレスに対する生体応答である、グルココルチコイド放出を血中濃度を測定することで確認している。現在、精神的ストレスが免疫寛容の誘導を抑制する機序に、ストレス応答性グルココルチコイド放出の関与をグルココルチコイド受容体拮抗薬を用いて検討したところ、グルココルチコイド拮抗薬の投与は、ストレスの影響を打消し、免疫寛容の誘導がおこるり、それに続き喘息気道反応が抑制されることが明らかになった。
おおむね予定通り進行していると考える。

今後の研究の推進方策

ストレス負荷による抗原提示細胞の修飾と免疫寛容の成立に与える影響を検討していく。

次年度使用額が生じた理由

実験の進捗が順調で、マウスの購入が予定よりも減ったため。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Increased Susceptibility to Allergic Asthma with the Impairment of Respiratory Tolerance Caused by Psychological Stress2018

    • 著者名/発表者名
      Kawano Tasuku、Ouchi Ryusuke、Ishigaki Takahiro、Masuda Chiaki、Miyasaka Tomomitsu、Ohkawara Yuichi、Ohta Nobuo、Takayanagi Motoaki、Takahashi Tomoko、Ohno Isao
    • 雑誌名

      International Archives of Allergy and Immunology

      巻: 177 ページ: 1~15

    • DOI

      https://doi.org/10.1159/000488289

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Maternal Separation as Early-Life Stress Causes Enhanced Allergic Airway Responses by Inhibiting Respiratory Tolerance in Mice2018

    • 著者名/発表者名
      Ouchi Ryusuke、Kawano Tasuku、Yoshida Hitomi、Ishii Masato、Miyasaka Tomomitsu、Ohkawara Yuichi、Takayanagi Motoaki、Takahashi Tomoko、Ohno Isao
    • 雑誌名

      The Tohoku Journal of Experimental Medicine

      巻: 246 ページ: 155~165

    • DOI

      https://doi.org/10.1620/tjem.246.155

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 幼少期ストレスによる免疫寛容の抑制を介した喘息発症モデル2019

    • 著者名/発表者名
      大内竜介、河野資、宮坂智充、大河原雄一、高柳元明、高橋知子、大野勲
    • 学会等名
      第1回日本アレルギー学会東北地方会
  • [学会発表] 幼少期ストレスによる喘息発症モデル―幼少期ストレス免疫寛容の抑制―2018

    • 著者名/発表者名
      河野資,大内竜介,宮坂智充,大河原雄一,高柳元明,高橋知子,大野勲
    • 学会等名
      第58回日本呼吸器学会学術集会
  • [学会発表] 免疫寛容誘導に対する精神的ストレスの影響と喘息発症2018

    • 著者名/発表者名
      河野資,大内竜介,宮坂智充,大河原雄一,高柳元明,高橋知子,大野勲
    • 学会等名
      アレルギー・好酸球研究会2018

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公開日: 2019-12-27  

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