研究課題/領域番号 |
17K16214
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
野田 健太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30547914)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | prokineticin-receptor 2 / prokineticin / 関節リウマチ / 全身性強皮症 |
研究実績の概要 |
①関節リウマチ患者における血清中PKR2濃度の検討 関節リウマチ患者31人,正常人8人において血清のPKR2濃度をELISA法にて測定した.関節リウマチ患者における血清PKR2濃度は10.73 ± 9.163 ng/ml,正常人における血清PKR2濃度は3.041 ± 2.705 ng/mlであり関節リウマチ患者における血清PKR2濃度は正常人と比較し有意に高値であった. ②関節リウマチ患者滑膜の免疫染色 prokineticin2(PK2)およびその受容体(PKR1及びPKR2)に対するポリクローナル抗体を用いて,ヒト滑膜組織の免疫組織化学的検討を行った.サンプルは当院で過去に手術を行った際に得られた滑膜組織のうち,関節リウマチ(RA)と変形性関節症(OA)のものをそれぞれ5例用いた.光学顕微鏡を用いて滑膜組織を400倍(対眼10倍,対物40倍)で観察し,それぞれの組織で代表的な3視野を撮影した.それぞれの視野をlining layerとsublining layerに分け,それぞれのprokineticin2 およびその受容体の陽性細胞数をカウントし3視野における平均値をその組織における陽性細胞数とした.結果はPK2,PKR1陽性細胞は はlining layer,sublining layerでRAとOAにて差を認めなかった.PKR2陽性細胞はlining layer でRA 35.4±8.73,OA 9.07±4.63(p<0.01),sublining layerでRA 38.5±8.49,OA 19.2±11.4(p<0.05)でありRAはOAと比較しPKR2陽性細胞の有意な増加を認めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関節リウマチ患者において末梢血血清中のPKR2濃度が正常人と比較し上昇していることを証明した.現在,関節リウマチ患者において関節炎部滑膜に浸潤しているPKR2陽性細胞の同定を免疫染色,in situ hybridisationにて行っている.さらに,強皮症患者、強皮症モデルマウスにおいてもPK2,PKR2の挙動を検討している.
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今後の研究の推進方策 |
①関節リウマチ患者関節滑膜において,PKR2陽性細胞の同定を行ったのみ,PKR2陽性細胞の機能解析をin vitroで行う. ②関節リウマチモデルマウスにおいてPKR2陽性細胞を同定し,細胞特異的にPKR2をKOすることにより関節炎にどのような影響を及ぼすか検討する. ③関節リウマチ以外の自己免疫疾患におけるPK2-PKR2の役割を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
in situ hybridisaionに使用する器具を購入するため昨年度前倒し請求をした.次年度使用額はin situ hybridisationに使用するprobeの設計,購入に使用する予定である.
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