強皮症では健常人に比して、活性化ヘルパーT細胞 (8.1% vs 6.4%)の割合が高かった。また、活性化したTh1 (2.0% vs 1.4%)および活性化したTh 17cell (1.3% vs 0.9%)が健常人に比して上昇していた。B細胞の分化に関しては、Double negative B細胞(6.9% vs 5.4%)の割合が上昇していた。階層型クラスター解析を行ったところ、免疫フェノタイプ異常に乏しい群、活性化Tヘルパー細胞の増加に加えて、Tregが著明に増加している群、そして最も免疫異常が強く、Tfh細胞とPlasmablastの増加を伴う群(Tfh dominant group)の3つのグループに分けられた。この3群間に年齢や罹病期間に違いは見られなかったがTfh dominant群において、皮膚硬化の進行、下部消化管障害、そして指尖潰瘍が有意に他の群に比して多かった。さらにその3群における血管異常の程度を比較したところ、Tfh dominant群においてLate patternへの進行例が多く(p=0.055)、Active patternへの進行例も多い傾向を認めた。またTfh dominant群ではLate patternへ進行した症例の平均罹病期間が他群に比して短く、他の群よりも血管障害の進展が遅いことが示された。そしてこのLate patternへの進行は強皮症で起こりうるほぼすべての臓器障害が関連していた。 以上、強皮症の免疫フェノタイプ異常と強皮症患者の細分化が示された。免疫学的異常は強皮症患者で均一ではなく、免疫フェノタイプの相違により細分化することにより、NVCで検出した血管障害の進行や臓器障害の併発に関連するサブグループが存在することが明らかになり、そのサブグループがTfh優位な免疫フェノタイプを有することが示された。このような試みによるエビデンスの蓄積は、強皮症の病態解明のみならず治療への応用、precision medicineの実現が期待される。
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