研究課題/領域番号 |
17K16231
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
吉野 友祐 帝京大学, 医学部, 講師 (60624509)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | B細胞活性化因子(BAFF) |
研究実績の概要 |
臨床研究について: 所属施設の倫理委員会において、臨床研究実施許可を2017年10月に受けた。以降検体採取を試みている。現在はコントロール症例を中心に回収及び保存を行っており、規定数が確保され次第解析を行っていく予定である。現時点ではコントロール症例で6例の検体を回収するに至っている。一方、対象症例に関しては医療機関側の諸事情により現在までに検体は回収できていない。
基礎研究について: まずはClostridium difficileよりフラジェリンの抽出を行った。液体培地内嫌気環境にて培養後、ボルテックスで鞭毛の菌体からの分離を行った後、低速遠心にて菌体を除去。上澄み液を高速遠沈し、さらに限外濾過にてフラジェリンを分離した。フラジェリンの抽出の有無については、SDS-PAGEを行い、ポリアクリルアミドゲルをCBB染色し確認した。また、C. difficileトキシンAおよびBについては購入し、またコントロールとしてSalmonella typhimuriumのフラジェリンも同様に購入、これらと腸管上皮細胞Caco-2およびヒト単球細胞THP-1を用い刺激実験を行った。細胞培養液に各刺激物質投与後、各々刺激時間経過後に培地を開始しELISA法およびSDS-PAGE/Western Blot法にてBAFFおよびAPRILの産生有無を評価した。刺激時間や刺激物質量など多くの条件設定で評価したが、結果として、予想に反し、いずれからも産生が確認されなかった。 今後検出方法を再検討し、産生の有無を評価していく予定である。産生が認められれば、動物実験での評価を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床面については、倫理申請受理までに時間を要し、また当施設でのC. difficileの集団発生に伴い、便検体採取が困難な状況になっており、現時点では十分な検体採取ができていない状況にある。 基礎面についは、予測されていたBAFFおよびAPRILのC. diffcileコンポーネント刺激に伴う腸管上皮細胞および単球細胞からの産生がELISA法及びSDS-PAGE/Western Blot法では確認できず、現在他の検出法の検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究について:今後、C. difficile感染について医療機関側の問題が解決した時点で再度対象症例の糞便検体の回収を行っていく。 基礎研究について:まずはBAFFおよびAPRILのC. difficile産生の有無を、RT-PCR等これまで試みていない検出法で確認していく。また、これらで産生が確認されなかった場合は、IgAと並び特にC. difficileにおいて保護的に働くと考えられているディフェンシンなど、その他の粘膜免疫・防御因子の産生等の評価を検討する。とくにディフェンシンは初期免疫の受容体であるToll-like receptorへの刺激に伴い産生されるものもあり、抽出したフラジェリンはこれらの産生を導く可能性が高いと考えられる。引き続き粘膜免疫とC. difficile感染症との関係性を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度においては、主に基礎研究に使用する予定であったが、期待される結果が得られず、予定していた動物実験を開始できなかった。次年度は予定通り研究を遂行し、本年度に行えなかった実験を進め、使用していく予定である。
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