研究課題/領域番号 |
17K16231
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
吉野 友祐 帝京大学, 医学部, 講師 (60624509)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | B細胞活性化因子 / Clostridioides difficile / トキシンB |
研究実績の概要 |
2018年度は引き続きClostridium difficileのコンポーネントであるフラジェリンおよびC. difficileトキシンA/Bを用い、これらとB細胞活性化因子BAFFとの関連に注目し基礎実験を継続した。 これまで報告されていた手法で腸管上皮細胞Caco-2へ各コンポーネントで刺激を行い、B細胞刺激因子 BAFFおよびAPRIL産生をELISA法、Western Blot 法、RT-PCR法にて評価を行ったがいづれも産生が確認されなかった。そのため、腸管において、粘膜下に存在するマクロファージ系細胞は非常に重要な役割を担っていることが分かっており、次にヒト単球系細胞であるTHP-1細胞を用い、同様に、C. difficile各コンポーネントによる刺激にの結果、BAFFが産生されるかを検討した。しかしながら、こちらも、いづれのコンポーネントを用いてもBAFF/APRILは見いだされなかった。 一方で、これまでBAFFは局所におけるB細胞のクラススイッチを進め、局所における免疫グロブリン産生を促進すると考えられてきたが、近年腸管においてはむしろBAFFは免疫グロブリン産生を抑制する機能があることが考えられてきている。そこで、次にC. difficileのコンポーネントが、THP-1細胞のBAFF産生能へ影響を及ぼす可能性について調査を行うこととした。THP-1細胞へIFN-gammaにより刺激を加えBAFF産生が導かれることを確認ののち、IFN-gamma刺激と同時にC. difficile各コンポーネントでTHP-1に刺激を加えその変化を確認した。結果として、C. difficileトキシンBは、IFN-gammaによるBAFF産生を促進する機能があることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初臨床研究および基礎研究の両面からClostridioides difficile 感染におけるBAFF/朝刊粘膜IgA産生の評価を行う予定であったが、臨床研究に関しては院内感染・アウトブレイクのリスクから、継続が困難となっている。一方、基礎研究に関しては、当初の予定とは大幅な変更にはなったが、promissingなデータを得ることができ、概ね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今回、基礎実験の結果、Clostridioides difficileトキシンBにヒト単球系細胞THP-1のBAFF産生能を増強する効果があることを見出した。最近の研究ではBAFFはむしろ粘膜分泌免疫グロブリン産生を抑制する機能があると報告されており、このトキシンBの機能は、Clostridioides difficile感染症において、何らかの働きを有している可能性が高いと考えている。今後、このトキシンBのBAFF産生能調整機能に注目し、その機能の解明を行っていくこととしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、前半は基礎研究結果が出ず、新たな物品を追加購入する必要があまりなかったため。 昨年度終わりに導き出した結果をもとに、Clostridioides difficileトキシンBのBAFFを中心とした免疫調整機能の解明を行っていく予定であり、今年度は引き続き基礎研究を中心に、物品費用などに用いていく予定としている。
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