全国の小児消化器病診療施設や周産期医療センターと協力して小児期発症の原因不明胆汁うっ滞症例の臨床情報やバリアントデータを収集することを目的に本研究を実施した。他研究班と協働して「小児期発症の胆汁うっ滞性肝疾患を対象とした多施設前向きレジストリ研究(CIRCLe:Comprehensive and Informative Registry system for Childhood Liver disease)」の立ち上げにも参画した。ゲノムデータと連結した遺伝性胆汁うっ滞症の臨床情報収集が継続的に可能となった。また、乳児黄疸ネットを活用して全国からの解析問い合わせや新規症例のリクルートに努めた。当初の計画では3年間を予定していたが、研究成果が順調に得られたため、最終年度を延長して、前年度までに蓄積したバリアントデータの整理作業や学会発表を行う方針とした。また、肝組織病理所見やなどのクリニカルデータと連結したバリアントデータは貴重であり、国内外へのバリアントデータベースへの登録準備に着手した。エクソームデータから新規変異を見出すためのパイプラインを構築した。以上より、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症における新規疾患遺伝子の探索とその分子機能の解析を行う研究プラットフォーム構築が達成できた。本研究期間内にいくつかの胆汁うっ滞関連遺伝子を検出したので、変異体を導入した細胞株を用いた機能解析研究やコンディショナルノックアウト動物などを用いたin vivo機能解析研究など今後の研究への発展を計画している。
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