研究課題
本研究ではHSD10タンパクの発現実験系を確立し、すでに同定している変異を導入したHSD10タンパクの酵素活性やタンパクの安定性をみることで、臨床像との比較を行う。また、RNasePを構成する残りの2つのタンパク(MRPP1、MRPP3)も発現・精製し、HSD10タンパクとの相互作用を明らかにすることでHSD10病の病態を明らかにする。以下の仮説をたて、これらのwild-typeと病的変異(重症例と軽症例)での差異をみることで病態に迫ることができると考えている。1) イソロイシン代謝系の2M3HBDとしての活性低下が問題となっているのか。2) ミトコンドリア内コレステロール代謝系の17β-hydroxy steroid dehydrogenase type10としての活性低下が問題となっているのか。3) RNasePの機能低下が問題となっているのか。(特に、RNasePのなかでHSD10タンパクに変異があると、他のコンポーネントとcomplexがつくりにくくなり、そのためRNasePの機能低下が問題となる可能性がないか。)昨年度は、HSD10病の病態解析のため、まずHSD10タンパクの発現実験系を確立することを試み、pET28aを用いた大腸菌によるタンパク発現系を構築することに成功した。大腸菌による精製タンパクを用いて、イソロイシン代謝系における酵素活性測定を実施し、wild-typeと病的変異(重症例と軽症例)との差異を解析することができた。その結果、変異タンパクにおける活性低下と臨床的重症度のある程度の相関関係を見出した。本年度はアロプレグナノロンを基質としてコレステロール代謝系の活性測定系の樹立を試みている。また、pcDNA3.1+を用いた、ほ乳類細胞用の発現ベクターも完成しており、HEK細胞等を用いた解析も進めている。引き続き、タンパク解析を進めていくことでHSD10病の病態を明らかとし、論文発表していきたいと考えている。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Journal of Human Genetics
巻: 64 ページ: 99~111
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Gene
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