研究実績の概要 |
脳磁図測定のための機器は既存のものを使用している。現在までにウェスト症候群の被検者14名に対して20回の脳磁計測を行った。そのうち1例では脳磁図の時間分解能を活かし、hypsarrhythmiaとよばれる特徴的な脳波の起始部のみの解析を行ったところ、脳腫瘍に伴う症候性ウェスト症候群の患者であったが、single dipole法によるECDは腫瘍周囲に有意な集積をしめし、dSPM解析による解析では腫瘍周囲から高い磁場変化が発生し、前頭葉へと拡延することが確認された。これらにより発作起始部の同定が可能であった。この解析が脳外科手術へつながり、現在発作が消失し、一旦停止していた発達の進行がみられている。 他の潜因性ウェスト症候群においても解析を進行させているが、従来の予想通りsingle dipole法では有意な結果が得られていない。dSPM法による解析をすすめ、また症例を蓄積することでWest症候群の病態解明につながる脳内の磁場変化の発見を模索している。また、これらの症例は同時に高磁場MRI、FDG-PET,脳波-機能的MRI同時記録が行われており、それらの検査との相関も一部でみられている。また、ウェスト症候群発症後1年での脳磁検査も5例で行い、結果の比較を開始している。昨年度に引き続き発症が少ない状況が継続しているため、まだ症例数が少ない。そのため発作予後との相関について検討を加えることができない状況である。今年度は8例の計測を行い、そのうち5例が新規症例であったため、研究期間は終了するが、引き続き解析および発作予後の観察を継続する予定である。
|