研究課題
【背景】家族性地中海熱(FMF)はPyrinタンパクをコードするMEFV遺伝子変異を原因とする自己炎症性疾患でありそのsequence variantsは340種類報告されているが、疾患関連が明らかであるものはM694Iなど数種類に過ぎず、ほとんどが意義不明である。【目的】FMF患者血球に特徴的な異常を明らかにする。変異MEFV発現iPS細胞由来血球で病態を再現する。【方法】患者より血液を採取し、単球およびin vitroで分化させたマクロファージ(MP)を用いた。また患者由来iPS細胞からMPを作製(iPS-MP)した。さらに、様々なvariantをもつMEFV遺伝子を強制発現させたiPS-MPも使用した。【結果】M694Iを有する単球の刺激時IL-1β分泌は患者と健常者とで差がなく、コルヒチンによる抑制は健常者のみで見られた。末梢血由来MPからのIL-1β分泌は患者で亢進しコルヒチンにより抑制された。患者由来iPS-MPでも同様の結果であった。変異強制発現iPS-MPでは、WTに比べて、M694Iを発現させたMPで有意にIL-1β分泌が亢進していた。さらに、FMFが疑われた2家系で同定されたまれなMEFV変異T577NとN679HをiPS細胞へ発現させマクロファージへ分化させ機能評価したところ、T577Nは野生型と、N679HはM694Iと同様の挙動を示した。【結論】単球とMPで表現型が異なり、MPの表現型が臨床像と一致した。患者検体および単一変異強制発現iPS-MPのいずれにおいても、M694I変異株で有意なIL-1β分泌亢進があり、MEFV variantを評価する系が確立された。この系により多数のvariantsの意義付けが可能となることが期待される。
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