研究課題/領域番号 |
17K16259
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
皆川 光 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60792132)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | がん / 免疫療法 / 経口がんワクチン / ビフィズス菌 |
研究実績の概要 |
ビフィズス菌をプラットフォームとした経口がんワクチンが抗腫瘍効果を持つことがマウスモデルにおいて確認されている。これを元に、ヒトにおいてもHLAに抗原提示されるかどうか、また抗腫瘍効果が発揮されるかどうかを、ヒトHLAトランジェニック(Tg)マウスを用いて検討する。このことにより本剤がヒトの細胞においてもスプライシングされ提示されるかどうかを検討し、将来のヒトへの臨床応用につながる。一方、マウスの細胞株においてもヒトのHLAを導入する必要があり、現在遺伝子編集によって行っている。 この経口がんワクチンをヒトへ応用する可能性が示唆されれば、がん治療において既存の化学療法や放射線治療に加え、新たな免疫療法が拓かれることになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本WT1蛋白を発現させたビフィズス菌投与群におけるエピトープの検出を目的として、オーバーラッピングペプチド法を用いて試みている。このために予備実験としてヒトHLA-A2402陽性ドナーから単核球を採取しPBS、WT1ペプチド投与群、WT1蛋白を発現させたビフィズス菌にわけ各々と共培養をおこなった。培養開始後6日、12日後に単核球を回収しWT1特異的キラーT細胞の検出を試みた。この結果、PBS、WT1ペプチド投与群よりWT1蛋白を発現させたビフィズス菌投与群では有意にWT1特異的キラーT細胞を検出され、その割合はWT1蛋白を発現させたビフィズス菌投与量依存性、培養時間依存性であった。 この結果からWT1蛋白を発現させたビフィズス菌投与はヒトの末梢血単核球を刺激し、クロスプレゼンテーションによりWT1特異的キラーT細胞を刺激することが明らかになった。この結果を踏まえWT1蛋白を11アミノ酸ごとに3アミノ酸ずつずらし、WT1蛋白のほぼ全域をカバーするペプチドを約100個合成した。現在、どのエピトープが効率よくWT1特異的キラーT細胞を誘導するか、検討中である。 ヒトHLAトランスジェニックマウスの作製とともにマウス腫瘍細胞3LLにヒトWT1遺伝子とヒトのHLAを導入することを試みている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ヒトトランスジェニックマウスの作製を試みており、遺伝子編集でヒトHLAとマウス腫瘍にヒトWT1遺伝子とヒトのHLAの導入を試みているが、HLA遺伝子、WT1逸電子とも導入に難渋している。今後導入方法を変更して試みる予定である。またオーバーラッピングペプチド法によってヒトでWT1を標的とした免疫として、WT1特異的な免疫反応を引き起こすエピトープを特定する。マウスでエピトープと判明したペプチドをヒトにおいても挿入してペプチドを合成する。これをIL-4/IL-7存在下にヒト末梢血単核球と共培養することで、エピトープ部分を特定することができる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の実験では、実験物品の購入にかかった金額が当初予定していたよりも少ない金額となり、それで実験を行うことができた。次年度使用額の使用計画としては、実験物品の購入や研究成果を発表する学会参加の旅費などを検討している。
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