研究実績の概要 |
当教室で開発した自然免疫受容体Nod1のリガンド投与による「川崎病類似冠動脈炎モデルマウス」にIL-1βの関与があるか調べるため、Nod1リガンド投与野生型マウスにAnakinra 1mgを連日投与したところ、冠動脈炎の改善傾向を認めた。しかし、試薬のストックが少なく、各群2匹しか評価ができず、冠動脈炎改善傾向があったものの統計学的な有意差判定はできなかった。 LCWE投与川崎病モデルマウスでは、IL-1βの重要性が既に示されており(Circulation. 2012)、最近、IL-1βの産生細胞が申請者らの発見したCD11c陽性マクロファージであることが明らかとなった(Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2015) 。また、LCWE投与による腹部大動脈瘤での解析でもCD11c陽性マクロファージの産生するIL-1βの関与が示され、関連因子としてMMP-12が挙げられている(Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2015)。そこで、自験の川崎病類似冠動脈炎モデルのCD11c陽性マクロファージにおけるMMP関連遺伝子を解析したところ、発現が亢進していたのはMMP-2, 9, 13, 24であり、MMP-12の亢進は無かった。MMP-12は組織から放出されマクロファージの浸潤に関与しているものと考えられた。
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