研究課題/領域番号 |
17K16275
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
宮崎 恭平 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70769497)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ウイルス性脳症 / 脳血管内皮細胞 / アストロサイト / 血管透過性 / 経内皮電気抵抗 / タイト結合 / サイトカイン / 3次元細胞培養 |
研究実績の概要 |
本研究では、グリア細胞であるアストロサイトと脳血管内皮細胞を用いた3次元細胞培養系を確立し、急性脳症の病態解明へ向けた細胞評価系を確立することを目的としている。アストロサイトと培地はScienCell Reserch Laboratories社より購入した。Human Astrocytes(Catalog#1800)は、Poly-L-Lysine(Catalog#0413)をコーティングしたフラスコに、Astrocyte Growth Supplement(Catalog#1852)を添加したAstrocyte Medium(Catalog#1801)で安定して培養できることを確認した。脳血管内皮細胞は、ヒト脳血管内皮細胞不死化細胞株(HCMEC/D3)を用い、CELLutions Biosystems Inc. のCLU512を購入し、培地はPromoCellのEndothelial Cell Growth Medium MV2 kitを用いて安定して培養できることを確認した。Ⅰ型コラーゲンをコーティングしたトランスウェルインサートにHCMEC/D3を培養し、Poly-L-Lysineをコーティングした下部ウェルにHuman Astrocytesを単層に培養し、3次元細胞培養モデルを確立した。3次元細胞培養モデルとアストロサイトなしのHCMEC/D3単独の培養系を経内皮細胞電気抵抗(TER)測定、溶質透過性試験、蛍光免疫染色により比較した。HCMEC/D3単独と比較して、TER上昇はみられず、溶質透過性の低下はみられず、タイト結合蛋白の局在変化はみられなかった。今後は、3次元細胞培養モデルに炎症性サイトカインであるTNF-α、IL-1β、IL-6などを添加し、in vitro血管内皮細胞障害モデルを作成し、検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
最初にヒト脳血管内皮細胞不死化細胞株(HCMEC/D3)は、Merck MilliporeのSC066を購入し検討した。しかし、安定したTERの上昇が得られなかった。次にCELLutions Biosystems Inc.のCLU512を購入し検討した。安定したTERを得るための条件を検討し、TER上昇を確認後に、3次元細胞培養モデルを作成したが、単独のHCMEC/D3と比較し、TER上昇はみられず、溶質透過性の低下はみられず、タイト結合蛋白の局在変化はみられない状態であり、急性脳症時の血管内皮細胞モデルを作成するのに苦慮している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、3次元培養モデルの条件検討を続け、有用な評価系の確立を目指す。その後は急性脳症患者血清中で上昇がみられる炎症性サイトカインであるTNF-α、IL-1β、IL-6を添加し、脳血管内皮細胞をTER測定試験、溶質透過性試験で検討する。また、蛍光免疫染色法によりタイトジャンクションの局在変化を観察し、さらにウェスタンブロット法やリアルタイムPCR法を用い、血管内皮障害時のタイトジャンクションとその関連蛋白について蛋白やmRNAの発現変化を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
端数が生じたため、次年度に繰越使用する予定とした。
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