研究課題/領域番号 |
17K16275
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
宮崎 恭平 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70769497)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 血液脳関門 / ウイルス性急性脳症 / 血管透過性 |
研究実績の概要 |
【方法】①ヒト脳血管内皮細胞と周皮細胞をトランスウェル膜の上部と下部にそれぞれ培養し、cellZscopeを用いて経内皮細胞電気抵抗(TER)を経時的に測定した。TERがプラトーになったことを確認し、in vitro 血液脳関門 モデルとした。段階希釈したTNF-αを添加してin vitro ウイルス性急性脳症モデルを作成し、TER変化による血管透過性変化を経時的に観察した。②in vitro blood brain barrier モデルを用いて分子量の異なるフルオレセインナトリウムまたはFITC標識デキストランを添加し物質の細胞透過を蛍光マイクロプレートリーダーにより評価した。③TNF-α添加後の血管透過性変化に伴うclaudin-5とZO-1の局在変化を蛍光免疫染色により、またclaudin-5の蛋白発現変化をウェスタンブロット法によって観察した。【結果】①TER値はTNH-α濃度依存性に減少し、最小値に達した後、徐々に回復した。②溶質透過試験では、TNF-α添加後にすべての分子量の物質の透過性が亢進したが、その程度は分子量とTNF-α濃度に依存し、経時的に回復の傾向を認めた。③claudin-5の局在は、TNF-α添加後に変化し、TNF-α濃度依存的に回復した。一方、ZO-1の局在には変化がみられなかった。claudin-5の発現は、TNF-α添加24時間後にTNF-α濃度依存的に減少した。【結論】脳血管内皮細胞と周皮細胞を用いた血液脳関門モデルを用い、TNF-αを添加することによりin vitroのVAEモデルを作成した。TER測定と溶質透過試験はTNF-αによる血管内皮細胞障害による透過性亢進を評価するのに有用である。この評価方法は、
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト脳血管内皮細胞と周皮細胞の共培養により、安定した血管透過性評価系を確立できた。さらにそこに炎症性サイトカインを添加することで急性ウイルス性脳症の病態モデルを確立することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
ウイルス性急性脳症の病態解明だけではなく、血管透過性に焦点をあてた特異的治療法開発に有用と考えられる。 血管透過性変化の詳細な分子メカニズムやneuro vascular unitを形成する細胞間の相互作用の検討モデルとしても有用である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
最終年度の物品費用に回すため次年度使用額が生じている。
|