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2017 年度 実施状況報告書

FBLN1の動脈管内膜肥厚作用の検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K16276
研究機関横浜市立大学

研究代表者

伊藤 智子  横浜市立大学, 医学研究科, 共同研究員 (80784652)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード動脈管 / 内膜肥厚
研究実績の概要

未熟児動脈管開存症の確実な治療法は未開発で,早産児の動脈管閉鎖の制御メカニズムの解明は急務である.動脈管が解剖学的閉鎖を達成するには,動脈管の中膜を形成する血管平滑筋が収縮し,かつ内膜肥厚が十分生じることが不可欠であるが, 早産児の動脈管内膜肥厚は出生時不十分で解剖学的閉鎖に至りにくいことが多い. 研究代表者はヒト動脈管とラット動脈管の網羅的遺伝子解析を行い,内膜肥厚を誘導する有力な候補遺伝子としてフィブリン1 を同定した. このフィブリン1による動脈管肥厚機序の解明が、本研究の目的である.
これまで,当初の予定通り,In vitroでPGE2-EP4の下流シグナルにおいてフィブリン1が増加する機序を明らかにした. フィブリン1が,動脈管内膜肥厚部に局在し,しかも胎児の成熟とともに増加することを組織染色やPCRで証明した. また, フィブリン1による内膜肥厚は、動脈管平滑筋細胞が内膜側へ遊走することで生じるが, その際に共役して働く分子であるADAMTS-1とバーシカンについても3分子の共役性の一端を証明できた.また, フィブリン1の細胞遊走能促進作用が,siRNAでFbln1を抑制することによって抑制されることをスクラッチアッセイによって証明した.
In vitroで,フィブリン1の内膜肥厚機序をおおむね明らかにすることができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の予定通り,当該年度でIn vitroで,フィブリン1の内膜肥厚機序をおおむね明らかにすることができた.
また,現時点で,遺伝子欠損マウスを用いたIn vivoでの実験に当初の予定通り取り掛かっている.

今後の研究の推進方策

当初,In vivo実験として、フィブリン1リコンビナントタンパクの胎児への投与を計画していたが, 物質の安定性や投与経路, 代謝に関する考察が現時点で不十分である.このためまずは,In vitroでの実験で明らかになったPGE2-EP4シグナルの下流でフィブリン1制御に関わる分子をターゲットとした薬剤を用いて,動脈管内膜肥厚を制御できるかについてvivoで検証を進めていく予定である

次年度使用額が生じた理由

購入物品が予定より低価で購入可能だったため、残額が生じた。
次年度使用額として発生した21545円は、次年度に研究に使用する物品等の購入、使用にあてる予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Tissue-type plasminogen activator contributes to remodeling of the rat ductus arteriosus.2018

    • 著者名/発表者名
      Saito J, Yokoyama U, Nicho N, Zheng YW, Ichikawa Y, Ito S, Umemura M, Fujita T, Ito S, Taniguchi H, Asou T, Masuda M, Ishikawa Y.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 13(1) ページ: e0190871

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0190871

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Attenuation of ductus arteriosus intimal thickening in preterm sheep twins compared with singletons.2017

    • 著者名/発表者名
      Ito S, Yokoyama U, Saito J, Sato S, Usuda H, Watanabe S, Kitanishi R, Miura Y, Saito M, Hanita T, Matsuda T, Ishikawa Y.
    • 雑誌名

      The Journal of Physiological Science

      巻: 67(6) ページ: 723-729

    • DOI

      10.1007/s12576-017-0565-5

    • 査読あり
  • [学会発表] Prostaglandin E-EP4 signaling-mediated fibulin-1 integrates extracellular matrices to promote smooth muscle cell migration of the ductus arteriosus2018

    • 著者名/発表者名
      Satoko Ito, Utako Yokoyama, Junichi Saito, Munetaka Masuda, Toshihide Asou, Yoshihiro Ishikawa
    • 学会等名
      Weinstein 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] Fibulin-1 の動脈管内膜肥厚形成機序2017

    • 著者名/発表者名
      伊藤智子, 齋藤純一, 横山詩子,石川義弘
    • 学会等名
      第53回日本新生児成育医学会学術集会
  • [学会発表] Prostaglandin E-EP4-mediated fibulin-1 up-regulation plays a role in intimal thickening of the ductus arteriosus.2017

    • 著者名/発表者名
      Ito S, Yokoyama U, Saito J, Masuda M, Asou T, Ishikawa Y.
    • 学会等名
      The 8th TAKAO International symposium
    • 国際学会
  • [学会発表] 多胎妊娠では動脈管内膜肥厚が抑制される2017

    • 著者名/発表者名
      伊藤智子, 横山詩子, 齋藤純一, 佐藤信一, 臼田治夫, 渡邊真平, 北西龍太, 三浦雄一郎, 埴田卓志, 松田直, 石川義弘
    • 学会等名
      第62回日本新生児成育医学会学術集会

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公開日: 2018-12-17  

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