研究課題/領域番号 |
17K16279
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
松本 歩 自治医科大学, 医学部, 講師 (20458318)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自閉症スペクトラム / 概日リズム異常 / オキシトシン関連物質 |
研究実績の概要 |
I)ASD患者を対対象とした病因遺伝子解析:aCGHを中心に解析を継続している。ASD患者約13例、知的障害19例、解析し、シナプスに関連する遺伝子等のCNVが検出されている。いくつかのCNV中の候補遺伝子について病因であることの確認のため候補遺伝子解析、家系解析を行っている。ASD女児例にASDの父由来の欠失arr cgh[hg19]11p14.3(21706424-23922118)x1があり、ASDで報告されているGAS2が含まれていた。また、知的障害の患者に対し、TrueSightOne、エクソーム解析も実施している。 II) 概日リズム関連遺伝子のASDへの関与の解析:過去の研究成果よりASD群では睡眠障害の有無にかかわらず概日リズム異常をコントロール群と比べ有意に多く有し、概日リズム関連遺伝子の検出変異の神経細胞への影響について解析を進めている。Timelessの変異(p.F498S,p.A325T)をCrisper-Cas9とオリゴを用いて iPSに変異導入を行った。コロニーを選択、培養し、シークエンスで変異確認を行い、2種類の変異導入を確認した。変異導入の効率も良好であった。また、引き続きTimelessのノックアウトマウスでの行動解析を行っている。 III) 治療法開発:オキシトシンに関連する“物質A”の臨床試験については、研究デザイン(対象、投与期間、投与量等)を決定し、学内の倫理委員会の承認を得ることができ、今月から1例目の患者への投与を開始した。今後さらにリクルートしていく
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・Timelessの神経への分化の解析実験において、iPS研究開始までに時間を要した。 iPSへの変異導入は確認できたため、今後は神経分化することが確認できているiPS株を譲り受け、再度Crisper-Cas9を用いて変異を導入し、分化等各種解析に用いる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
・aCGH解析を継続し、CNVを検出している。候補遺伝子として有望なものについては変異解析、機能解析を行う。
・Timeless変異導入iPSを神経に分化させ、解析を行う。形態評価、シナプス電位等生理学的評価を検討している。 Timelessで解析の系が確立すれば、その他のASD関連遺伝子でも解析可能となり、重要な研究である。
・オキシトシンに関連する“物質A”の臨床試験中である。2人エントリーしているが、今後さらにリクルートしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
・変異を導入したiPS作成に時間を要してしまい、予算との差額が生じてしまったが、次年度は作成したiPSを用い解析予定であり、予定通り実施可能である。
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