研究課題
自閉症スペクトラム、発達障害の原因不明例に10例のエクソーム解析を実施した。4例については原因を同定した。1例は、DYNC1H1遺伝子は細胞質ダイニンの複合体のコア構造の細胞質ダイニン1の重鎖をコードしている。Charcot-Marie-Tooth、脊髄性筋萎縮症、および神経細胞移動障害を伴う知的障害、自閉症の原因遺伝子である。今回は、皮質形成異常を伴い難治性てんかんの症例と、皮質形成異常を伴わずに、難治性てんかんと、自閉症の症例で変異を同定した。DYNC1H1はStem、stalk、と運動ドメインである6つのAAAドメインから成り立っている。我々が同定した変異は、StemドメインとAAA6ドメインで、AAA6ドメインの変異報告は、これまでASDの症例の報告があったが、臨床症状の詳細は不明であった。皮質形成異常を伴わない知的障害、てんかんの報告もDYNC1H1としては少なく、てんかん、皮質形成異常のreviewと共に報告した(inpress)。また、低身長と発達障害の症例でGAP43の変異を同定した。GAP43は成長因子関連蛋白で、神経の再生において重要であると考えられている。この症例はSilverRussell症候群(SRS)に類似しており、SRSが疑われる症例で、このメチル化の有意差が見られたとの報告もあった。60例のSRS疑い例で通常H19/IGF2のメチル化異常が見られなかった症例についてシークエンスを行ったが、変異は同定できなかった。しかし、発達障害へ関与が考えられ、永田先生らと皮質形成への関与についてさらに解析中である。他の遺伝子についても更なる解析や、症例報告を作成中である。ASDの患者より同定したTimelessのノックアウトマウスの行動解析については、網羅的に行動解析を行い、社会相互作用試験で有意差の出る結果が得られ、マウスの数を増やして解析予定である。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Hepatol Commun
巻: 4 ページ: 1124-1135
10.1002/hep4.1529