survival motor neuron1(SMN1) 遺伝子の変異もしくは欠失により生じる脊髄性筋萎縮症(SMA)においては、下位運動ニューロンの変性により、全身の筋萎縮を生じる。本研究では、インフォームドコンセントによる文書同意の上、SMA患者由来の線維芽細胞、リンパ芽球の細胞株を樹立し、イメージングフローサイトメトリー法(ImageStreamMarkⅡ)を用いて、SMNタンパク質発現量および局在の解析を実施した。その結果、SMA患者由来細胞では、健常コントロールと比較して、有意にSMNタンパク質の発現量が低く、リンパ芽球においては、SMAの疾患重症度とSMN発現量に有意な相関がみられた。本知見をもとに、低侵襲で採取可能な末梢血を試料としたSMNタンパク質解析のアルゴリズムを構築した。SMA患者および健常コントロールから、文書同意を得た上で採血を行い、SMNタンパク質の解析を行った。予備検討にて、リンパ球、単球、顆粒球においては、それぞれSMNタンパク質の発現量に差異がみられることが明らかとなったため、細胞表面抗原マーカーをもとに、新鮮末梢血由来単核細胞を分画した上で解析を行うアルゴリズムとした。ヘパリン管に採取した1.5mlの血液を試料とし、細胞表面抗原マーカーで染色し、溶血、固定処理を実施、細胞透過処理後に、細胞内SMNタンパク質を抗SMN抗体で染色、イメージングフローサイトメトリーにて、SMN発現およびSMN凝集能を解析した。その結果、SMN発現量およびSMN凝集能は、健常コントロールと比較してSMA患者由来血液で有意に低下しており、さらにSMAの疾患重症度とSMN凝集能には有意な相関が示された。
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