研究課題/領域番号 |
17K16285
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
福井 香織 久留米大学, 医学部, 助教 (50771193)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高アンモニア血症 / α-ケトグルタル酸 / 尿素サイクル酵素欠損症 / mTORC1 / オートファジー / グルタミノリシス |
研究実績の概要 |
尿素サイクルの酵素欠損症患者では飢餓により高アンモニア血症が誘発され、また増悪する。体タンパク質の同化・異化はmTORC1を中心とする機構で調節されており、飢餓により異化に傾く。われわれはこの調節機構への介入による高アンモニア血症の新規な治療法の開発を計画した。まず、マウス胎仔線維芽細胞(MEF)の培養系で、培養液中のアンモニア濃度にはグルタミノリシスの活性が関与すること、ブドウ糖欠乏によってアンモニア濃度が上昇することを明らかにした。このことに基づき、昨年度は、過剰なグルタミノリシスを抑制し、かつクエン酸サイクルへのアナプレロティック効果が期待できる物質としてα- ケトグルタル酸(AKG)に着目し、その膜透過性アナログであるジメチル-α-ケトケトグルタル酸(DKG)の添加効果を検討した。その結果、DKGの添加によって用量依存的にアンモニア蓄積は抑制され、培養液中のグルタミン酸の増加が認められた。このことから、DKGから生じるAKGがグルタミン酸脱水素酵素による還元的アミノ化を促進し、また酸化的脱アミノ反応を抑制した結果、アンモニアが低下すると考えられた。 2019年度は、モデル動物を用いた個体レベルでのDKGのアンモニア濃度上昇抑制効果を検討した。まず、慢性の高アンモニア血症のモデルとして先天性OTC欠損症による高アンモニア血症の新生仔牡ブタにDKGを持続点滴したところ血中アンモニア値は有意に低下した。ついで急性高アンモニア血症のモデルとして、塩化アンモニウム腹腔内投与による高アンモニア血症マウスへDKG またはAKGを腹腔内投与したところ、いずれも血液中アンモニア濃度は有意に低下した。これにより、AKGもDKGと同様にアンモニアを下げる効果であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度に特許出願などに時間を要し、さらに今年度は2019年11月から出産のために産前産後休暇及び育児休暇に入ったため、研究を行えていないため。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトへの投与に向けての準備を行っていく。また、海外の学会での発表や論文投稿を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
産前産後休暇及び育児休暇取得のため研究が中断していて実験が進まなかったため。 育児休暇終了後に実験の追加を行う予定である。また、論文申請や海外学会での発表も予定している。
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