現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、知的障害および運動発達遅滞が見られ、X染色体上に欠失をもつ女児2例について、欠失領域を同定し、X染色体不活性化の解析を行った。しかし、解析の結果、欠失領域は当初予測されていたXq26-ter領域ではなくXq27.1q28であることが判明した。この領域にはMECP2は含まれていない。当初は本患者の症状がMECP2を欠失するRett症候群と関係すると考えていたため、Rett症候群患者およびMECP2重複症候群患者の末梢血およびリンパ芽球を用い、X染色体不活性化の状態を比較する予定であった。しかしながら、MECP2が2例の患者の疾患とは関係ないことから、2例の患者単独で解析を行うことにした。 この結果、偶然にも2例の患者は欠失領域がほぼ同じであることが判明し、「X染色体不活性化と病態の関係を明らかにする」という研究の「目的1」を達成するのにふさわしい検体であることが分かった。患者末梢血およびリンパ芽球を用いた解析から、少なくともXq27.1q28領域に欠失を持つ患者では、X染色体不活性化の状態は、症状の重症度と相関していることを明らかとした。この知見はXq27.1q28欠失の女児の病状を報告した過去の論文とも矛盾しない(Clark et al., 1990,91,92, Marshall et al., 2013など)。現在、研究をまとめ論文を作成している最中である。
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