研究課題
MTNR1A、1Bは、それぞれ自治医大のASD(Autism Spectrum disorder)患者からミスセンス変異(MTNR1A:p.R54W, p.A157V、およびMTNR1B:p.G24E, p.A325V)が見出された遺伝子であり、トリオ解析によりde novoの変異であることが確認された。MTNR1A/Bは概日リズムに関連するメラトニン受容体をコードしており、既にASD患者での遺伝子変異の報告があり、変異によるメラトニン結合能や細胞内局在の変化が示唆されている。しかし、MTNR1A/Bが実際に脳形成に果たす役割は全く解明されていない。本研究では、MTNR1A/Bミスセンス変異を発生期のマウス大脳で模倣し、これらの遺伝子異常がASDを引き起こす分子メカニズムを解析することで、ASD病態形成機構の解明を目指す。今年度はMTNR1A、1BのRNAiベクター、及び患者の変異を模倣したMTNR1AのR54W、A157V変異体を作成し、機能解析を開始した。RNAiベクターについては、COS7細胞で発現抑制効率を確認し、高効率のものをそれぞれ3種類ずつ剪定した。しかしマウス組織内では発現抑制効率が低かったため、再度ベクターを構築した。COS7細胞、マウス組織内で効率よく働くRNAiベクターをそれぞれ2種類ずつ得ることが出来た。マウス子宮内胎仔脳遺伝子導入法を用いて胎生14日目のマウス胎児の神経幹細胞にMTNR1AのRNAiベクターを導入し、そこから誕生する大脳皮質神経細胞の移動を生後0日目と3日目に観察したが、移動および、神経細胞の最終配置は正常であった。
3: やや遅れている
MTNR1A、1Bに対するRNAiベクターを3種類ずつ作成し、培養細胞では効率よく発現抑制されていたが、組織内では効率よく発現抑制されなかったため、再度ベクターの作成、効率の検証を行う必要ができたため。また、研究所及び動物施設移転のため、4ヶ月間動物実験が行えなかったため。
作成したMTNR1A, 1BのRNAiベクター、及び患者由来のMTNR1A-RW、AV変異体を、マウス子宮内胎仔脳遺伝子導入法を用いて胎生14日目のマウス胎児の神経幹細胞に導入し、幹細胞から産生される大脳皮質神経細胞の移動、軸索伸展、またその後の樹状突起発達を観察する。
研究所、動物舎移転のため、動物実験が4ヶ月間実施できなかったため。
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J. Med. Genet
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https://www.pref.aichi.jp/addc/eachfacility/hattatsu/index.html