我々は超低出生体重児の予後の改善を目的とした人工胎盤システムをヒツジ胎仔を用いた動物実験で開発した.そこで未熟で抵抗力の弱い胎仔は,人工羊水内で増殖した微生物による菌血症や敗血症に陥りやすいことが指摘されたため,本研究では羊水の浄化システムの確立を目的とした. 人工羊水循環回路内に0.2 μm の物理的フィルターと紫外線照射を導入したが,羊水内での細菌の増殖を防ぐことは容易ではなく,未熟な早産ヒツジは敗血症を発症した.しかし翌年から6時間毎に人工羊水を入れ替えることにより,抵抗力の弱い未熟な胎仔 (妊娠103日, 平均体重1.20 kg) においても敗血症の発症を予防できることが示された.
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