研究課題/領域番号 |
17K16297
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 美春 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (60570083)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 胎児発育不全 / 細胞療法 |
研究実績の概要 |
今年度はモデル作製と行動実験による評価を行った。FGR(fetal growth restriction)モデルを作製にはアメロイドコンストリクター(AC)を子宮動脈周囲に装着することで作製した。ACは吸水すると緩徐に膨張する特徴を持つガゼインを含んでおり、緩徐な血流制限を再現することができる。 方法としてSD系ラットの母獣で、妊娠17日目に開腹し、4か所の子宮動脈剥離後ACを装着し、閉腹し妊娠を継続させ、虚血再潅流により胎仔に子宮内発育不全を誘導した。はじめにACの子宮に対する血流制限の効果判定として妊娠17日齢でAC装着後、24時間後、48時間後、72時間後に開腹し、組織血流計のωzoneを使用して継時的に血流量を測定した。子宮血流量は、装着前29.4±0.8ml/min/100g (46.0±4.8)、24時間後22.9±1.6ml/min/100g (46.0±4.8)、48時間後21.2±2.2ml/min/100g (46.0±4.8)、72時間後18.1±0.3ml/min/100g (46.0±4.8)と段階的に減少した。 次に新生仔期、幼仔期における検討を行うため通常経膣分娩にて分娩とし、母獣に哺育させ飼育させた。sham群は、開腹して子宮を体外に出すが子宮動脈にACは装着せず、FGR群と同じ時間経過後に閉腹した。出生したFGRの体重推移は出生後の体重推移:日齢4:FGR群 7.2±0.2g、sham群 10.4±0.4g、日齢7:FGR群 9.6±0.2g、sham群 15.46±0.6g、日齢10:FGR群 12.6±0.7g、sham群 22.9±0.7g、日齢17:FGR群 29.9±2.9g、sham群 43.4±1.1g、日齢22:FGR群 38.4±3.1g、sham群 65.6±1.4gであり、有意にFGR群の体重が軽かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたモデル作製、評価が出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
確立したモデルを使用し、原始反射異常の評価、学習障害、運動障害の評価を行う。さらに、細胞を投与したときの治療効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫組織学的評価や分子生物学的評価が今年度は出来なかったため、そのための試薬代が残った。 次年度以降にこれらの評価を行うため、次年度使用額は試薬費として使用する。
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