研究課題/領域番号 |
17K16303
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
上田 佳朋 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (30758420)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 低酸素虚血性白質障害 / 豊かな環境飼育 / 小児期リハビリテーション / 皮質内微小電気刺激 / インスリン様成長因子2型 |
研究実績の概要 |
本研究は、周産期低酸素虚血性白質障害(DWMI)モデルに対し、①豊かな環境飼育(EE)が運動機能障害を改善するか、②電気生理学的に神経シナプス機能を改善するか、③分子メカニズムとしてIGF-2 等の神経栄養因子が関与するか、を検討することを目的としている。 H29年度は、主にDWMIモデルに対しEEが運動機能を改善するか否かについて検討した。生後3日齢のオスWistar ラットを用いDWMIモデルラットを作製し、離乳後の生後25日にEE飼育群と通常飼育群の2群に分けて生後70日齢まで飼育し、経時的な運動機能障害の改善をロタロッド試験評価する。その結果、離乳後から5週間のEEにより、成熟後の運動機能が著しく改善されることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生後70 日まで飼育した後、皮質内微小電気刺激(ICMS)を実施し既知のマップ変化が正常化するかを確認し、またゴルジ染色により神経細胞の樹状突起が変化するかを確認する予定であったが、実施するに至らなかった。そのため予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
生後70 日まで飼育した場合の皮質内微小電気刺激(ICMS)を検討する。これにより、DWMIにおける皮質マップの変化が正常化するか否かを確認する。またゴルジ染色も実施し、DWMIによる神経細胞の樹状突起の変化が正常化するか否かを確認する。 一方、運動野に存在するGABA 作動性介在ニューロンのサブタイプ(パルブアルブミン陽性、カルレチニン陽性、ソマトスタチン陽性)について免疫染色により解析し、介在ニューロンの変化が樹状突起の変化と関連するか否かについても明らかにする。 さらに、DWMIモデル脳内で増加するIGF-2が、EE飼育によって変動するか否かについても、皮質運動野をサンプルとして経時的に解析し、皮質回路形成の分子基盤をも念頭に入れて実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
無駄な経費の節約を考えながら行動解析実験を中心に実施し、他経費で購入した試薬など共通で使用可能な消耗品もあり、当初の予定より経費使用が少なかった。次年度に繰り越し、電気生理学実験で必要な物品や分子生物学的試薬の購入に高価なものが多いので使用したい。
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