研究課題/領域番号 |
17K16304
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
手塚 優 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (70453321)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Bag3 / 神経分化 |
研究実績の概要 |
マウス神経芽腫由来細胞株(N1E115)を神経細胞のモデルとして、神経細胞分化に対するBag3の役割について検討を行った。BAG3を特異的に低下させるsiRNA(siBAG3)およびBAG3を過剰発現させることができるBAG3遺伝子含有アデノウイルスベクターをN1E115細胞に加え、BAG3をノックダウンおよび過剰発現させた時の神経細胞分化に対する影響について検討を行った。N1E115細胞は無血清培地で培養することで神経突起様の突起伸長が認められることから、無血清培養下における神経突起伸長を指標としてBag3の神経細胞分化に与ええる影響について検討を行った。その結果、N1E115細胞の神経突起伸長に対してBag3は影響を与えなかった。そこで、神経細胞死に対するBAG3およびBakの役割について検討を行った。siBAG3およびアデノウイルスベクターにより、BAG3をノックダウンおよび過剰発現させた時のN1E115細胞の細胞死およびミトコンドリア分画におけるBakタンパク質量について検討した。その結果、BAG3を特異的にノックダウンしたN1E115細胞では、TUNEL法で検出されるアポトーシスと考えられる細胞死が増加し、ミトコンドリア分画でのBakタンパク質量が増大していた。一方、BAG3を過剰発現した細胞では細胞死は起こらず、Bakのタンパク質量が低下していた。その時、N1E115細胞のBak遺伝子発現量には変化が認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Bag3tm1c(EUCOMM)Hmguマウスと神経細胞特異的プロモーターの下流にCreリコンビナーゼを挿入してあるトランスジェニック(TG)マウス(Nestin-Cre TGマウス)との掛け合わせを行い、Nestin-Cre TG x Bag3tm1c(EUCOMM)Hmguマウスを少数ではあるが手に入れている。十分な数となるように繁殖を行い、神経特異的なBAG3欠損が神経発生に与える影響について検討を進めていくことができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞を用いたBag3の役割解析を継続するとともに、作製した遺伝子改変マウスを用いて神経特異的にBag3が欠損した場合の表現型の解析を行う。また、この遺伝子改変マウスの解析を行い、小脳を含む神経組織の発達段階でのBag3の生理学的役割について明らかとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 概ね順調に研究がすすんでいたことから、次年度の研究において使用することが考えられる抗体を含めた高額な試薬の購入に充てる、次年度助成金と合わせた使用が研究遂行する上で望ましいのではないかと考えたため。 (使用計画) 抗体および培養細胞実験用の血清
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