研究課題/領域番号 |
17K16305
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 由芽 自治医科大学, 医学部, 助教 (40458302)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 概日リズム / 極低出生体重児 / メラトニン / コルチゾール |
研究実績の概要 |
極低出生体重児は、乳幼児期から過敏性や相互応答の乏しさがみられ、発達過程で自閉性スペクトラム障害様の症状を呈する割合が多いが、原因は不明である。概日リズムの確立は、生涯を通じて生命の維持及び社会生活に重要な影響を及ぼし、乳幼児期には神経発達に深く関わっている。本研究では、極低出生体重児の概日リズムの確立と成長および神経発達の関連を解明することを目的としている。 本研究の具体的概要は、極低出生体重児を対象に新生児集中治療部入院中に唾液を採取しメラトニンとコルチゾールを測定して、その分泌の日内変動と新生児期から乳幼児期の成長発達の関連を調べることである。平成30年度は、研究機関の倫理委員会に臨床研究「早産極低出生体重児の概日リズム形成と乳幼児期の成長発達の関連」の審査を受け承認後に、対象児(代諾者)に研究の説明を行い、12名に同意を得て、内11名に唾液の採取および簡易脳波検査を施行した。10名の唾液検体(メラトニン 30検体、コルチゾール 20検体)のメラトニン、コルチゾールをELISA法で測定し、メラトニン、コルチゾールの測定方法を確認した。また、同意を得られた対象児の臨床情報(在胎期間、出生体重、おもな合併症)を収集した。次年度は、目標の50例を目指して研究の説明と同意の取得を行い、メラトニン、コルチゾールの日内変動と新生児期から乳児期にかけての成長率との関係を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究機関の倫理委員会の審査後に承認を得て、平成30年7月から対象児に研究の説明と同意の取得を開始した。平成30年度に本研究に同意を得られたのは12名であり、内11名に唾液の採取および簡易脳波検査を施行した。10名の唾液検体(メラトニン 30検体、コルチゾール 20検体)のメラトニン、コルチゾールを測定した。研究開始時期が予定より遅れたため、同意を得られた対象数が目標の50例に達しておらず、研究の進捗状況はやや遅れている。次年度は、引き続き研究に対する同意を得て対象数を増やし、メラトニン、コルチゾールの測定と、新生児集中治療部入院中および退院後の乳幼児期成長発達評価を並行して進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き目標症例数に達するまで、本研究に同意を得て唾液の採取および簡易脳波の装着を行う。10例ごとにメラトニン、コルチゾールの測定を行い、メラトニン、コルチゾールの日内変動の有無と、新生児集中治療部入院中の成長率と簡易脳波により判定する脳の成熟度との関係について解析する。並行して新生児集中治療部を退院後の成長率および発達検査結果の情報を収集し、新生児集中治療部入院中のメラトニン、コルチゾールの日内変動の有無との関係について解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、研究開始の遅れにより研究の同意を得られたのが12例と予定より少なかった。測定した唾液検体は10例(メラトニン30検体、コルチゾール20検体)と予定より少なく、このため消耗品の使用額が少なかった。旅費も生じず、次年度に繰り越した。 次年度は、残る40例の測定を予定しており、消耗品の使用額が増加する見込みである。メラトニン、コルチゾールの日内変動と新生児集中治療部入院中の成長発達の関係について関連学会に発表する予定であり、旅費も使用する見込みである。
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