極低出生体重(VLBW)児は、乳幼児期の過敏性や相互応答の乏しさがみられるが原因は不明である。概日リズムの確立は、生涯を通じて生命の維持及び社会生活に重要な影響を及ぼし、乳幼児期には神経発達に深く関わっている。本研究は、早産またはVLBW児の概日リズムの形成と成長発達の関連を解明することを目的としている。具体的概要は、在胎32週未満の早産またはVLBW児を対象に、新生児集中治療部入院中に唾液を採取してコルチゾールとメラトニンを測定し、その分泌の日内変動の有無と、新生児期から乳幼児期の成長発達の関連を調べることである。平成30年度に研究機関の倫理委員会に臨床研究「早産極低出生体重児の概日リズムの形成と乳幼児期の成長発達の関連」の審査を受けて承認後に、研究を開始した。 当該年度は、唾液中のコルチゾール、メラトニンの測定値と乳幼児期の成長発達の関連について解析した。研究の同意が得られた38名の内、修正37-44週に唾液を採取しコルチゾールの日内変動の有無を確認できた31名について、概日リズムあり群となし群に分類した。両群間で、新生児期から乳幼児期にかけての体重、身長、および頭囲のSDスコア変化率、新版K式発達検査の全領域、および運動・姿勢、認知・適応、言語・社会の領域別発達指数を比較した。両群間に、新生児期から乳幼児期にかけての体格SDスコアの変化率、および新版K式発達検査の全領域と各領域別発達指数について、統計学的有意差はみられなかった。
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