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2019 年度 実績報告書

ヒストン脱アセチル化機構の異常がアストロサイトの増殖/分化誘導に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 17K16308
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

藤村 公乃  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (80445395)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードアストロサイト / 胎内曝露 / バルプロ酸ナトリウム / エピジェネティクス
研究実績の概要

前年度までの結果より,バルプロ酸(VPA)胎内曝露が生後大脳皮質内に分布するアストロサイト数を増加させることが判明した.これらの過剰産生されたアストロサイトの機能を解析するため,今年度は予定を変更し,生後の大脳皮質内に分布するアストロサイト分画を精製しRNAseqを実施した.
まず,Anti-Glutamate aspartate transporter(GLAST) Microbead法により精製されたアストロサイト分画と精製前の神経系細胞分画についてGLASTをコードするSLC1A3の発現量をqPCRで比較したところ,アストロサイト分画では精製前の神経系細胞分画と比較してSLC1A3発現量が5倍に増加した.このことは本手法がアストロサイトを精製するために有効な方法であることを示した.
次に,VPA胎内曝露が生後アストロサイトの遺伝子発現に与える影響を解析するため,アストロサイト分画からトータルRNAを抽出し,RNAseqを実施した.VPA胎内曝露群では対照群と比較して28遺伝子に発現量の変動を認めた.具体的には,ヒストン結合タンパクやATPaseをコードする遺伝子などについて発現量増加を認めた.さらに,これらの変動についてgene ontology(GO)解析を行ったところ,VPA胎内曝露群では対照群と比較してADP合成経路が促進されるとの結果を得た(ADP biosynthetic process, GOid: 0006172, n = 3, p < 0.01).
本研究の結果は,VPA胎内曝露が生後早期の大脳皮質に分布するアストロサイトの遺伝子発現を変動させるとともにアストロサイト数を増加させることを示した.過剰産生されたアストロサイトではATPase量が増加すると推測され,生体活動によるエネルギー需要が増加している可能性が考えられた.VPA胎内曝露が仔の高次脳機能を障害することは多数の先行研究が報告しており,本研究の結果はアストロサイトの数の増加や生体活動の変動が高次脳機能障害の一因となり得る可能性を示唆した.

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公開日: 2021-01-27  

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