研究課題/領域番号 |
17K16310
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
大場 智洋 昭和大学, 医学部, 助教 (60439370)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | PIBF / 母体血清 / 胎盤 / 免疫染色 / プロゲステロン |
研究実績の概要 |
①妊婦(妊娠25~34週)の血清中のPIBF が胎児発育不全と関連するか評価する。昭和大学病院の産科外来で単胎妊婦25~34 週の妊婦に血液検査を施行し、出生時体重が-2.0SD以下の症例と正常発育の症例の母体血清中のPIBF 値を比較検討する。ELISA法を用いて、血清を100倍希釈し、測定した結果、胎児発育不全例6例:225±100ng/ml、正常発育例:10例:73±33ng/ml(p=0.001)であった。次に、別の症例の検体で血清を50倍希釈し、測定した結果、胎児発育不全例6例:594±100ng/ml、正常発育例:16例:512±70ng/ml(p=0.063)であった。また、血清中のプロゲステロン濃度は、胎児発育不全例6例:168±53ng/ml、正常発育例:7例:154±37ng/ml(p=0.617)であった。これらの結果から、胎児発育不全の母体血清中のPIBFは、プロゲステロンの影響を介せずに上昇していると考えられた。胎児発育不全例では、PIBF値が低い症例もあったが、その症例は超音波検査で胎児循環は保たれており、妊娠38週で分娩している。 ② 胎盤の病理学的検査(免疫染色)を行い、胎盤中のPIBF の局在を調査する。過去に帝王切開術で分娩となった症例で、出生時体重が-2.0SD 以下の5 例と正常発育の5例の分娩後に採取された胎盤の病理学的検査(免疫染色)を行い、胎盤中のPIBF の局在を調査した。脱落膜、絨毛組織を調査したところ、胎児発育不全例のcytotrophoblastが染色された。正常発育例では染色されなかった。母体血清中で上昇したPIBFは、胎盤から発現されていると考えられた。 今後、母体血清中のPIBFを、電気泳動などで立証していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の目標は、①妊婦(妊娠25~34週)の血清中のPIBF が胎児発育不全と関連するか評価する。② 胎盤の病理学的検査(免疫染色)を行い、胎盤中のPIBF の局在を調査する。であった。この2点は、現在進行中でありながらも進展している。母体血清中のPIBFを電気泳動などを使用し、証明していくことや、症例数を増やして、血清中のPIBF測定と胎盤免疫染色をしていくことを考えている。また、当該年度の進捗状況は学会で発表予定であり、論文作成も検討している。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の目標は、①妊婦(妊娠25~34週)の血清中のPIBF が胎児発育不全と関連するか評価する。② 胎盤の病理学的検査(免疫染色)を行い、胎盤中のPIBF の局在を調査する。であった。この2点に関して、母体血清中のPIBFを電気泳動などを使用し、証明していくことや、症例数を増やして、血清中のPIBF測定と胎盤免疫染色をしていくことを考えている。 また、妊娠初期(妊娠6から8 週)の血清中のPIBF が胎児発育不全と関連するか評価することが目標である。妊娠初期の血清中のPIBFをELISA法もしくはウエスタンブロッティング法での測定を考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
血液検査、胎盤病理検査のため、上記額を使用した。 残額は、追加検査をするには額が不足している。 そのため、本年度で使用することができなかった。 次年度に繰り越しをして、検査を進めていきたい。
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