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2017 年度 実施状況報告書

水頭症発症に関わる分子メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K16313
研究機関明治大学

研究代表者

中村 彰宏  明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (50750973)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード繊毛 / 脳形成
研究実績の概要

本研究計画初年度である平成29年度は遺伝子欠損マウスに対し、脳室拡大時期の特定および細胞新生と細胞死のバランスを明らかにすることを目指した。
まず、脳室拡大の時期の特定については生後3週齢時点ではすでに野生型に対し有意に脳室が拡大していることが、組織切片による解析から明らかになった。そこでさらに遡り時期の特定を行なったが、若齢になるに従い個体差も大きいことがわかった。胎齢14日では著しい違いは認められなかったが、胎齢16日では野生型では閉鎖する領域が遺伝子欠損型マウスのいくつかでは閉鎖していない状況が認められた。さらに個体数を調べ表現型であることを確実にするとともに、この領域の解剖学的な場所を特定しその後の成長への影響についても検討したい。
次に細胞新生と細胞死のバランスについては、BrdUを用いた細胞新生の評価においては野生型と遺伝子欠損型マウスに大きな差は認められなかった。一方でTUNEL解析による細胞死の評価ではやや遺伝子欠損型マウスの上衣細胞でシグナルが多く認められたが有意な差ではなかった。しかし、TUNEL解析とアストロサイトのマーカーであるGFAP(Glial fibrillary acidic protein)の免疫染色の二重染色を行なった結果、GFAPのシグナルとTUNELのシグナルがマージしておりアストロサイトが細胞死していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の計画である脳室拡大時期の特定と細胞新生と細胞死のバランスについてはそれぞれ結果を得ることができた。しかしながら、脳室拡大時期の特定については3週齢より若齢では個体差や組織が未発達であることなどから解析が難しい。3週齢の時点ですでに脳室の大きさに有意な差が認められることから、おそらくそれ以前から徐々に変化が生じていることが予想される。この点、時期の特定という計画においては完全な計画の達成とは言えず、その達成度は自己評価として60-70%と言ったところである。
初年度のもう一つの課題である細胞新生と細胞死のバランスについては細胞新生には差は認められないものの、細胞死という点でやや遺伝子欠損マウスで亢進していることが示された。このことからほぼ計画は達成されたものといえる。さらに、この課題については細胞死する細胞がアストロサイトであることが免疫染色により示され、死んでいる細胞の種類を特定することができた。
総合して初年度の進捗はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

計画2年目の平成30年度は脳室内の繊毛運動について解析を行う計画だが、初年度に引き続き脳室拡大時期の特定を目指し3週齢より若齢の個体での実験数を重ねたい。また、初年度にハイスピードカメラの購入を計画していたが、試薬等の購入によりハイスピードカメラを購入することができなかった。そこで、平成30年度の予算でまずハイスピードカメラを購入し、脳室内繊毛の撮影を行う。
また、これまでの観察から若齢マウスと成体マウスでは脳室内の繊毛の動きが異なる可能性が示唆されることから、週齢ごとの繊毛運動の比較についても行う予定である。この場合、脳室拡大時期の特定と脳室繊毛の解析のために若齢のマウスを多く供試する必要がある。そこで、十分な遺伝子欠損マウス個体の確保が必要になるため交配数を増やす必要がある。これまでの結果から遺伝子欠損雌雄による交配では野生型の交配に比べその産仔数が著しく減少することがわかっており、系統維持のためには遺伝子欠損オスとヘテロメスとの交配による産仔数の確保が効率的だと考えられる。一方で、産仔についてはその都度、遺伝型判定を行う必要があるので、日常業務として遺伝子判定を行う必要がある。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、初年度の旅費として100,000円を計上していたが31,358円のみの使用であったことから68,079円の残額が生じた。計画段階では初年度に学会参加と研究打ち合わせのために予算を計上したが、学会参加の際に、打ち合わせを実施することができ、別日での旅費は発生しなかった。しかし今後(平成30年度以降)は打ち合わせのほかに、機器利用などのために他研究施設の利用を計画しており、その際の旅費として使用することを計画している。

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公開日: 2018-12-17  

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