研究課題
ハイリスク新生児の生存率向上とは対照的に、遠隔期に効率に高次脳機能障害を発症することが知られており、周産期及び新生児期の様々な因子が関係していることが予想される。超音波検査で脳微細構造の生理的・病的発育が観察できれば遠隔期の高次脳機能に直結する受傷起点や治療環境を同定し、ハイリスク児の予後を向上させることができると予想される。高周波超音波探触子を用いて得られた脳画像と退院時の頭部MRI画像を比較検討することで受傷起点や神経学的予後と直結する脳微細構造の変化を同定することを目的とした。本研究を実施するにあたり久留米大学倫理委員会の承認を得るとともに倫理委員会のホームページ上に公開した。久留米大学病院新生児センターでは33週未満の児や低酸素性虚血性脳症といったハイリスク新生児に対して退院前に頭部MRIを施行している。脳構造の経時的変化を検出するために出生から約2週間毎に頭部超音波検査を行い、早産児においては分娩予定日周辺、ハイリスク新生児においては退院前のMRI検査撮影日から数日以内に頭部超音波検査画像を記録した。超音波検査は当施設既存のフィリップス社製超音波装置を用い8MHzまたは15MHzに高周波探触子で超音波画像を記録した。2018年度には超音波検査装置の経年劣化のため機器の変更が行われた。超音波検査装置の変更後も同様にフィリップス社製超音波装置を使用し、8MHzまたは15MHzに高周波探触子を用いて画像の収集を行った。頭部MRI検査装置についてはGE社製3TsのMRI装置を引き続き使用した。
4: 遅れている
超音波装置の経年劣化のため機器の変更を行ったため一時的に超音波検査による撮影が滞った。超音波装置は引き続きフィリップ社製のものを使用し、探触子も同様に8MHzと15MHzのものを使用することができたが症例数に関しては当初予定していた症例数に至らず、2週間ごとの撮影もブランクが生じた。
昨年度までに引き続き低酸素性虚血性脳症などのハイリスク児や早産児を中心に頭部超音波検査を行う。相対的ステロイド欠乏や感染症などによるバイタルサインの変動といった臨床的イベントによる脳構造変化をとらえるために2週間ごとの頭部超音波検査画像を記録する。31年度後半には収集した超音波画像とMRI画像との解剖学的照合と臨床的イベントによる微細構造の変化の推定を行う。統計解析を行い、臨床背景と脳構造変化の関係性を明らかにする。
経年劣化による超音波検査装置購入の際にプローブの購入も含めて病院の費用で賄うことができたため、当初予算計上していた高周波プローブの購入費用の支出の必要がなくなった。また、データ保存及び統計解析用の統計ソフトの購入費用が当初の予定より安く購入できた。以上の理由で残額が生じた。残額についてはデータ保存用の外付けハードディスク、USBメモリースティックや筆記用具等の購入を予定している。
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SCIENTIFIC REPORTS
巻: 07 August ページ: 1-9
10.1038/s41598-018-30274