研究課題
一般的な実験動物に対する創傷治癒実験よりも規模が微小な創傷の治癒過程を観察することで、より詳細な創傷の再上皮化までのプロセスを解析している。初年度は主に組織学的な解析を行った。野生型マウス(C57BL/6)背部皮膚に対する微小創傷では、アルカリフォスファターゼ陽性の毛乳頭は創傷作成部位の真皮側に残存する。創傷治癒過程を経時的に詳細に観察したところ、再上皮化する表皮細胞ではアルファ6インテグリン、パンサイトケラチンが創傷作成の24時間後には発現するようになり、72時間後には重層化した表皮が完成する。この場合、表皮顆粒層のマーカーであるロリクリンも微小創傷の72時間後には発現が認められるため、表皮の分化も完成したと結論づけられる。微小創傷の作成とlineage tracingの手法を組み合わせることで、微小創傷部位の上皮化時の、各種幹細胞の寄与を明らかにしている。特に、K14-CreERTマウス(Jackson laboratoryから入手)とR26R-H2B-mCherryマウス(RIKEN CLSTから入手)の交配によって作出されるK14-CreERT;R26R-H2B-mCherryマウスへタモキシフェンを投与して、Creリコンビナーゼの誘導から毛包間表皮幹細胞(ケラチン14陽性、核へのmCherryの発現を共焦点顕微鏡で観察)の細胞系譜を確認した。微小創傷部位では、創傷辺縁に毛包間表皮幹細胞からの子孫の細胞群が集塊をなしていた。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度に予定していた、微小創傷部位の形態学的・組織学的観察は完了している。また、平成29年度から30年度の2年間にわたって予定していたlineage tracingについても、既に開始しており、一定の成果を上げていることから、おおむね順調に進展していると評価した。
Lineage tracing実験の観察する個体数を増加させ、結果として得られる蛍光色素陽性細胞を定量評価する。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (20件) (うち国際共著 1件、 査読あり 20件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
The Journal of Dermatology
巻: 45 ページ: e260~e261
10.1111/1346-8138.14287
Journal of Investigative Dermatology
巻: 138 ページ: 1260~1267
10.1016/j.jid.2018.01.005
巻: 45 ページ: 515~521
10.1111/1346-8138.14222
British Journal of Dermatology
巻: 178 ページ: e119~e121
10.1111/bjd.15925
Exp Dermatol
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1111/exd.13550
J Invest Dermatol
10.1016/j.jid.2018.03.002
J Eur Acad Dermatol Venereol
10.1111/jdv.14807
Am J Med
10.1016/j.amjmed.2017.12.033
J Dermatol
10.1111/1346-8138.14180
Acta Derm Venereol
巻: 98 ページ: 119~120
10.2340/00015555-2814
Hum Mutat
巻: 38 ページ: 1666~1670
10.1002/humu.23344
巻: 137 ページ: 2552~2559
10.1016/j.jid.2017.07.831
J Dermatol Sci
巻: 88 ページ: 247~248
10.1016/j.jdermsci.2017.07.005
Br J Dermatol
巻: 178 ページ: 294~295
10.1111/bjd.15834
Elife
巻: 6 ページ: e26635
10.7554/eLife.26635
巻: 97 ページ: 1245~1246
10.2340/00015555-2750
J Pediatr
巻: 188 ページ: 305~305.e1
10.1016/j.jpeds.2017.05.058
巻: 88 ページ: 139~141
10.1016/j.jdermsci.2017.03.022
巻: 26 ページ: 1171~1174
10.1111/exd.13331
Eur J Dermatol
巻: 27 ページ: 295-296
10.1684/ejd.2017.2971