研究実績の概要 |
Muse細胞から分化誘導した色素細胞が再構成皮膚内でもメラニンを産生し、それを角化細胞へと移譲できるかどうかを検討した。これまでの検討で、Muse細胞より色素細胞が分化誘導可能であることがわかっている。また、分化誘導中にα-Melanocyte stimulating hormoneで刺激することにより、分化誘導6週間後におけるMuse細胞由来色素細胞の色素細胞関連遺伝子(Tyrosinase, PMEL, DCTなど)が増加していることが分かっている。今回の検討では、Muse細胞由来色素細胞が周囲の細胞へとメラニンを移譲できるかどうかを確認した。Muse細胞を色素細胞へと分化誘導するために、Wnt3a、stem cell factor、endothelin 3、コレラトキシン、basic fibroblast growth factor、デキサメタゾン、リノール酸、インスリントランスフェリン、アスコルビン酸、テトラホルボールエステルを含んだ分化誘導培地で6週間培養した。Muse細胞由来色素細胞は色素細胞関連遺伝子を発現しており、-MSH刺激によってメラニンの産生が見られた。これをMuse細胞由来角化細胞、線維芽細胞とともに3次元再構成皮膚を作成した。作成後、3次元再構成皮膚を目視で確認したところ、黒色の斑点が観察できた。これはヒト色素細胞を含んだ再構成皮膚と比較しても、黒色部の有意差はなかった。この再構成皮膚を薄切し、免疫蛍光染色で色素細胞関連タンパク質を染色した結果、表皮基底層にてtyrosinase陽性細胞が確認できた。また、Gp100で蛍光免疫染色したところ、melanosomeが色素細胞外にて陽性箇所が存在をみとめた。以上より、Muse細胞由来色素細胞は細胞外へmelanosomeを放出していることが分かった。
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