研究課題/領域番号 |
17K16321
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
能登 舞 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (10738462)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 尋常性乾癬 / メンブレントラフィック / オートファジー / エンドサイトーシス / VPS34 / イノシトールリン脂質代謝 |
研究実績の概要 |
2年目となる平成30年度は、以下の研究を行った。①タモキシフェン処理後のCreERT2;VPS34lox/floxマウスでみられる尋常性乾癬様病変と、イミキモド誘導性乾癬モデルマウスでみられる病変で、病理組織像、および炎症性サイトカインの発現プロファイルを比較検討する。②CreERT2;VPS34flox/floxマウスから表皮細胞を採取して培養し、タモキシフェンを処理後、オートファジー、およびエンドサイトーシスに関わる分子の動態を解析する。③尋常性乾癬患者の病理標本を用いて、VPS34をはじめとするエンドサイトーシス経路やオートファジー経路に関与する蛋白質の発現を、免疫組織化学染色により調べる。 ①に関しては、免疫組織化学染色により、VPS34欠損マウスでみられる尋常性乾癬様病変と、イミキモド誘導性乾癬モデルマウスでみられる病変で、増殖性ケラチン(K6/K16)、およびリン酸化STAT3の発現パターンが非常に似ていることがわかった。さらに、定量的PCRの結果、両者の炎症性サイトカインの発現プロファイルも類似していることが判明した。以上より、VPS34欠損マウスでみられる尋常性乾癬様病変は、尋常性乾癬の新しいモデルとなりうると考えられる。 ②に関しては、表皮細胞の初代培養、タモキシフェンの濃度、細胞の固定方法、用いる抗体の濃度などの条件検討は終了した。③に関しては、用いた抗体のバックグランドが高く、尋常性乾癬患者の病理組織において、エンドサイトーシス経路、およびオートファジー経路に関与する蛋白質の発現に関し、有意な所見を見出すことができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究目標の一つである、タモキシフェン処理後のCreERT2;VPS34lox/floxマウスでみられる尋常性乾癬様病変と、イミキモド誘導性乾癬モデルマウスでみられる病変の比較検討は計画通り行うことができた。しかし、VPS34欠損マウスでみられる尋常性乾癬様病変、および尋常性乾癬患者の病理組織におけるエンドサイトーシス経路、オートファジー経路の検討は、計画通りに進まなかった。以上より、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年となる平成31年度は、オートファジー、およびエンドサイトーシスに関わる分子の動態解析に注力し、成果として発表することを目指す。 CreERT2;VPS34flox/floxマウスの初代培養した表皮細胞におけるオートファジー、およびエンドサイトーシスに関わる分子の動態に関しては、タイムラプス解析にも取り組む。また、乾癬病変におけるエンドサイトーシス経路、およびオートファジー経路に関与する蛋白質の発現に関しては、新たに別の抗体を購入し、条件を検討して再度免疫組織化学染色を試みる。
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