研究課題
乾癬は全身性の炎症を背景に皮疹を呈する、慢性の炎症性皮膚疾患である。皮疹のみならず、関節炎やぶどう膜炎を高率に合併するため、乾癬の病態の発症には自己免疫の関与が示唆されている。これらの合併症によって、患者のQOLは大きく障害されており、病態解明と副作用の少ない新規治療法の開発が急務となっている。B細胞は自己抗体を産生することによって自己免疫に関与していると考えられてきたが、最近、その他にも様々な機能を有しており、自己免疫において中心的な役割を担っていることが分かってきた。研究代表者が所属するグループをはじめとして、多くの研究者らによって、一部のB細胞群はインターロイキン10(IL-10)を産生することにより炎症反応を制御することが明らかとされ、特に注目を集めている。制御性B細胞と名付けられたこの細胞群は、乾癬においても疾患抑制作用を示すことが報告されているが、その詳しい機序は依然として不明である。本研究の目的は、臨床検体と動物モデルを用いて乾癬における制御性B細胞の役割を明らかとし、新規治療法の開発へ結び付けることである。難治性皮膚疾患である乾癬に対する治療法は未だ確立していないため、乾癬の新たな病態理解に基づく副作用の少ない新規治療法の開発は、患者や患者の家族のみならず、医療関係者からも切に望まれている。本研究の目的は乾癬のマウスモデルであるイミキモド誘導性乾癬の病態形成と進行における自己抗原特異的制御性B細胞の役割を明らかにし、新規治療法の開発に結びつけることである。このため、本研究ではマウスを用いてイミキモド誘導性乾癬モデルを作成し、制御性B細胞を乾癬モデルに養子移入した後に、炎症の重症度を評価した。今回の検討結果から、乾癬の病態において、制御性B細胞と制御性B細胞から産生されるIL-10は乾癬の病態に対して抑制的に働くことが示唆された。
すべて 2018
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Eur J Dermatol
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