研究課題/領域番号 |
17K16328
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
端本 宇志 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00647844)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 痒疹 / 慢性皮膚炎 / アンフィレグリン / STAT3 |
研究実績の概要 |
痒疹モデルマウスおよびVitD3塗布による慢性皮膚炎・アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いて、アンフィレグリンの解析を行った。アンフィレグリンをsiRNAを用いて抑制すると、両モデルマウスともに炎症は抑制された。この状態の病変部でのサイトカインプロファイルを確認すると、IL-4, 13, 17, 22, Eotaxinといったサイトカインはほぼ変化していなかったが、TSLP産生が減少していた。TSLPとアンフィレグリンとの間の接点は未だ不明であるが、TSLPは好塩基球の遊走や活性化に密接に関わっている。 両モデルマウスでは好塩基球が病態に深く関わっているが、組織学的検索により、好塩基球がアンフィレグリンを発現していることが確認された。このことから、TSLPがなんらかの機序を介して好塩基球由来のアンフィレグリンの発現をコントロールしている可能性がある、と推察される。 また、興味深いことに、マウスリコンビナントアンフィレグリンを通常状態のマウス皮膚に投与しても炎症は惹起されなかったが、モデルマウスにリコンビナントアンフィレグリンを投与すると、炎症が増強した。このことから、アンフィレグリンは炎症の原因そのものではなく、増悪因子として作用することが考えられた。 また、in vivoでマウス好塩基球を刺激すると、TSLP、IL-3で惹起した好塩基球は、IgE刺激やIL-33の刺激によりアンフィレグリンmRNAの発現を増強させた。両モデルマウスのうち、痒疹モデルマウスではIgEが重要であり、また、両モデルマウスともにIL-33の発現は増強していることも確認された。 さらに、類縁疾患である疥癬は痒疹を合併するが、ヒトの疥癬病変の解析でも、好塩基球が多数浸潤していることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アンフィレグリンについては順調に解析が進んでおり、アンフィレグリンの病態への関与がだいぶ明らかになってき。今後根本機序について検討を進める。また、STAT3についてはまだ成果がでていないが、アンフィレグリンの解析とともにSTAT3についても検討を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
好塩基球由来のアンフィレグリンが炎症に果たす役割を、マウスの好塩基球由来アンフィレグリンを除去してどのように炎症が減弱するかを確認することにより、検討する。具体的には、好塩基球除去マウスにアンフィレグリン不反応性好塩基球を移入することにより、炎症が減弱するかを確認する。 STAT3の炎症えの寄与については、STAT3抑制外用薬をモデルマウスに塗布することにより、病理学的変化やサイトカインプロファイルを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究内容について、一部の内容の論文作成を計画した。論文作成にかかる額には該当年度の使用可能額では満たず、翌年度分の前倒し請求を行ったが、論文作成の計画が変更されたため、前倒し分を全ては使い切らなかった。そのために次年度使用額が生じたものである。当初の該当年度の予定額は全て使用している。 実験の遂行、研究成果の発表および論文発表については、計画通りに遂行する予定である。
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