研究課題
核膜孔複合体は30種類のタンパク質(ヌクレオポリン:NUPs)から成り立ち、核膜孔を構成する。近年、NUPsの発現・状態変化により、核膜孔複合体の機能高次化が誘導されることがわかってきた。申請者は、皮膚組織幹細胞や扁平上皮癌細胞の未分化維持に関与するNUPを見出し、このNUPによる細胞性質の制御機序を解明することを目的とした。本研究で注目したNUP分子特異的なsiRNAならびにshRNAを用いて遺伝子干渉法により、標的NUPの発現量を抑制した細胞を用いてマイクロアレイ解析を行った。遺伝子発現パターンから、標的NUPの抑制により、上皮分化関連遺伝子発現が誘導されることが明らかとなった。また、コーディング遺伝子に加えて、上皮分化制御ノンコーディングRNA(TINCR)の発現上昇を認めた。重要なことに、コーディング遺伝子の発現レベルは、TINCR依存的であった。標的NUPによるTINCR発現抑制機序は、未分化維持制御において重要な過程であることが示唆された。そこで、TINCR遺伝子領域におけるNUPsの結合・制御領域について解析を進めた。現在、これらの成果の論文投稿・発表にむけた準備を進めている。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
Oncogene
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