研究課題/領域番号 |
17K16336
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
近藤 誠 三重大学, 医学系研究科, 助教 (40464169)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Rickettsia japonica / Th2 / サイトカイン / 好酸球 |
研究実績の概要 |
申請者らは先ず十分なインフォームド・コンセントを行い研究の同意を得た日本紅斑熱罹患感染患者の急性期と回復期の血清中のTH2系サイトカインであるIL-33, IL-5, IL-13の濃度をELISA法にて測定し、好酸球が消失する機序を解明する計画を立てた。まず本年度は日本紅斑熱罹患患者の血清を集めること、および学会や文献等で情報を収集することに終始した。 現在7検体の急性期及び回復期の血清が集まり、それらの対象患者の同意を得た。 また日本紅斑熱罹患対象患者の好酸球数は急性期はO%~1%未満であること。回復期には数%に回復していたことを全例で確認できた。 また、測定予定のサイトカインのうちIL-4、5を測定した。結果として、IL-4,5とも測定感度以下であり、また正常人コントロールとも差がなかったため、いまのところ関与の可能性は低いと思われる。しかし、実際、日本紅斑熱罹患患者は好酸球が消失しており、IL-33, IL-5, IL-13のいずれかのカスケードを阻害しているのかの基礎研究となる。この結果と、日本紅斑熱罹患患者の各種サイトカインの値を比較検討し、ダニ刺傷時の日本紅斑熱罹患予防法の確立、また新たな日本紅斑熱罹患時の治療法に応用に結びつける。 また、本研究において対象患者におけるアトピー性皮膚炎や喘息、悪性リンパ腫等、好酸球の増多、減少にかかわる基礎疾患の調査ならびに各種内服薬における人体へのTh2型免疫反応におけるサイトカインの影響につき、論文等の文献にて調査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初10名程度を予定していたが対象患者数におおむね達しつつある。 急性期と回復期の血清中のTH2系サイトカインであるIL-33, IL-5, IL-13等の濃度をELISA法にて測定するが、測定予定のサイトカインのうちIL-4、5を測定した。
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今後の研究の推進方策 |
Rickettsia japonicaを細胞膜、細胞小器官膜、核の3つの成分に分離し、それぞれの成分を培養血管内皮細胞と共培養する予定だが、Rickettisia japonicaの分離は細胞内寄生菌であり、サイズ的にも分離は難しいと現時点では判断している。ゆえにマクロファージにRickettsia japonicaは取り込まれるため、マクロファージを分離し、また破砕し血管内皮細胞と共培養する予定である。各成分の刺激により、産生されたサイトカインをELISA法で測定し評価すが、Rickettsia japonicaのどの部分であったかはDNAを抽出し、Rickettsia japonicaの各種、細胞膜、細胞小器官膜、核の特異プライマーで増幅し確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品費として本研究は血清からの各種サイトカインをELISA法にて測定する。既存の各種サイトカインに対するELISA kitが主な消耗品であった。また、情報を収集するため国内旅行費、ならびに外国旅費で研究における学会出席において発生する旅費を必要とした。 次年度も引き続き、ELISA kitが主な消耗品で、ならびに解析にかかる費用が必要となる。 また人件費・謝金:翻訳、校閲に係る謝金、得られた成果を国外の一流雑誌に投稿するための出版費等を計上した。
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