研究課題/領域番号 |
17K16340
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小倉 香奈子 神戸大学, 医学部附属病院, 医学研究員 (70619155)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 食物依存性運動誘発アナフィラキシー / アスピリン蕁麻疹 / ミソプロストール |
研究実績の概要 |
本研究は、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーとアスピリン蕁麻疹に焦点を絞って、症状誘発を抑制する治療法の確立およびその機序の解明を目指すものである。今年度申請者は、既往歴および血液検査、皮膚テストの結果から小麦依存性運動誘発アナフィラキシーが強く疑われる患者に、同意を得た上で入院下で負荷試験を行い、症状誘発の有無を確認した。症状が誘発された場合には、後日同じ条件で負荷開始の1時間前にミソプロストール200㎎の前投与を行い、症状が抑制できるかどうかを観察した。症状が抑制された患者には、日常生活においてやむを得ず小麦を摂取する場合にミソプロストールを事前内服していただき、その後の経過を確認し臨床情報を集積した。現時点では高い確率で症状誘発を抑制できている。同時に、同意が得られた症例においては経時的な血清サンプルを集積している。小麦依存性運動誘発アナフィラキシーは通常の食物アレルギーとは異なり、特定の条件がそろった際に強いアレルギー症状を引き起こす疾患である。患者の体調、運動、NSAID内服などにより症状誘発の閾値が低下するため、症状出現の予測が困難となり症状を認めた際には重篤化しやすい。また、小麦は日常的に摂取する食材であり、完全な除去が難しい。症状誘発を抑制できる薬剤が判明すれば、患者のQOL向上につながるものと考える。また、症状誘発および抑制の機序が解明されれば、新たな治療法の開発にもつながると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の初年度は、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーが疑われる患者に、入院下で負荷試験を行い対象患者の集積をおこなった。摂取、運動、アスピリン内服(500mg)の負荷でそれぞれ単独で症状を認めないことを確認した後、摂取+運動、アスピリン+摂取、アスピリン+摂取+運動の負荷を行い、症状が誘発された時点で陽性と判定した。これまでに26例に負荷試験を行い、そのうち23例が陽性であった。23例のうち、同意が得られた19例にミソプロストールの前投与を行ったところ、16例は症状誘発を抑制できた。また、症状を認めた3例も軽微な症状であり、全例外食などで小麦を摂取するかもしれない場合には、ミソプロストール前投与により事なきを得ている。
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今後の研究の推進方策 |
負荷試験をおこなった際、同意が得られた患者には経時的に採血を行い血清を採取している。その血清を用いて、肥満細胞活性化マーカー(トリプターゼ、ヒスタミン、PAF)を測定するとともに血液中の抗原(グリアジン)濃度測定を行う予定にしている。また、アスピリン蕁麻疹が疑われる患者の集積を行い、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーと同様に、ミソプロストールの前投与を行い、症状誘発が抑制できるかどうかを検討していく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実際に得られた臨床データについて統計ソフトの購入を検討していたが、機能を吟味した上で次年度に購入することにしたため。 繰り越し金額については統計ソフトの購入に充当する予定である。
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