研究課題
EBウイルス関連T/NK細胞増殖症の表現型として、主に小児に発症する光線過敏症に種痘様水疱症 hydroa vacciniforme;HV がある。HVでは末梢血、皮疹部共にEBウイルス感染γδT細胞が増加し病態に大きく関わることを報告したが、紫外線曝露による皮疹形成機序についてはいまだ不明である。EBV感染γδT細胞の走化性をEZ-TAXIScanTM簡易型細胞動態解析装置(Effect Cell Institute社製)を用いて測定し、CXCR4のケモカインリガンドであるCXCL12/SDF1が遊走に大きく関わっていることが判明した。次にCXCL12発現細胞同定を探索すべく、表皮角化細胞や血管内皮細胞等の培養細胞を用い、紫外線刺激(UVA)やIFN-γ等の刺激実験を行った。また、PCRバイアスがかからない非バイアス次世代TCRレパトア(Repertoire Genesis Inc. Japan)を用いて、発熱や肝障害等の全身症状を伴う全身型HVについて解析したところ、従来の方法では検出し得なかった微量のTCRクローンを検出することができこれを報告した(The European Journal of Dermatology 2019 Feb 1;29(1):21-28.)。さらに、HV同様にEBV関連リンパ増殖性疾患である蚊刺過敏症患者において、EBV DNA測定の臨床的意義について検討した。血漿中のEBV DNA著明高値例において、血球貪食性リンパ組織球症合併を認め、これを報告した。(Journal of Medical Virology. 2020 Apr 7.)また、全身型HVにおいて、末梢血中のEBV感染大顆粒リンパ球にNK抗原であるCD16/56が共発現していることを見出した。しかし、NK抗原が陽性ながら通常のNKT細胞が発現しているVα24を認めず、通常のNKT細胞とは異なる細胞群でHV患者におけるsurrogate markerとなる可能性を見出し、これを報告中である。(論文投稿中)
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Journal of Medical Virology
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10.1002/jmv.25811.
European Journal of Dermatology
巻: 29 ページ: 21-28
10.1684/ejd.2018.3490.