ニトロセルロースメンブレンを皮膚表面に貼付し経表皮的に炎症性サイトカインの検出を行うskin blotting法という方法を用いて、炎症性皮膚疾患においてサイトカインの検出を試みた。各疾患ごとのサイトカインの検出の差について検討を行い、最終的に重症薬疹における早期診断ツールになるかどうかを検討することを目的とした。 具体的には、多型紅斑・固定薬疹・Stevens-Johnson症候群・薬剤過敏症症候群・中毒性表皮壊死症・多形慢性痒疹などで、病変部・非病変部にそれぞれニトロセルロースメンブレンを貼付した。メンブレンは抗体を用いてTNF-αとIFN-γなどのサイトカインの測定を行った。また、併せて生検皮膚の病理診断で確認された皮膚障害の程度を検討し、skin blotting法の結果と生検部皮膚で確認された皮膚障害の程度との相関の有無を検討した。初年度は薬疹を中心に検討を行ったが、最終年度は各疾患ごとの症例数を増やし、薬疹以外の炎症性皮膚疾患についても検討を行った。結果としては、皮膚障害のgradeの高い症例では、病変部と非病変部においてサイトカインの検出に差がみられた。さらに症例を蓄積し検討を行うことで、侵襲度の高い皮膚生検を行わず皮膚障害の重症度を予測することが可能となる可能性がある。今後の検討課題として、表皮障害が強くなるとサイトカインを検出しやすくなる可能性があるため、三次元培養皮膚を用いてニトロセルロースメンブレンに経皮的にサイトカインが吸着されるメカニズムについて明らかにする必要があると考えている。
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