研究代表者の海外留学に伴い本研究課題を一時中断していたが、帰国後に再開した。これまで報告してきた通り、海外留学前までの研究では、角層pHの恒常性維持機能に障害のあるFlaky tail miceに対して部位特異的なトランスクリプトーム解析を実施し、皮膚炎が生じている部位では、Peroxisome Proliferator-Activated Receptor(PPAR)シグナル経路内の複数の遺伝子発現が下方制御されているなど、複数の新たな知見を得ていた。この研究成果のさらなる発展および普遍性を確認するために、以下の実験を行った。 細胞培養実験:(1)Flaky tail miceは、フィラグリン遺伝子変異を有するマウスで、皮膚におけるフィラグリンの発現は低下していることが知られている。従って、表皮角化細胞におけるフィラグリンの発現低下が、表皮角化細胞に何らかの機能変化を来しているのではないかと仮説を立て、ヒト表皮角化細胞のフィラグリンをsiRNAでノックダウンし、炎症性サイトカイン等の発現を評価した。(2)siRNAでフィラグリンをノックダウンした表皮角化細胞のトランスクリプトーム解析を実施した。 動物実験:(1)Flaky tail miceとは異なる、新たな炎症性皮膚疾患のマウスモデルを構築した。(2)同マウスの皮膚におけるトランスクリプトーム解析を実施した。 現在、これらの実験結果を解析中である。尚、今年度が補助事業期間の最終年度となるが、今後も本研究課題に関連する研究、解析を継続していく予定である。
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