研究課題
乾癬のモデル細胞系として報告されているSTAT-3高発現ケラチノサイト細胞系において、EGFRIを添加し、表皮の増殖速度の評価を行う予定であったが、細胞実験、施設等、人手の問題により有用な結果を出すことはできなかった。乾癬のモデル細胞系として報告されているSTAT-3高発現ケラチノサイト細胞系で立体培養を行う予定であったがこちらも同様に有用なデータを出す事はできなかった。角層側の培地にEGFRIを添加する事により、ケラチノサイトの増殖抑制や表皮の細胞量減少が達成されるかどうかを組織学的に評価する目的であったが、立体培養自体が細胞実験、施設等、人手などの問題により遅延した。そのため今年度は動物実験の準備(ケージ、投与薬剤の確認など)を行った。また、関連する疾患の症例報告として、頚部に限局しCreeping diseaseと鑑別が必要であったEosinophilic annular erythemaの一例を報告した。Pazopanib使用中に生じた真皮血管変性に伴う下腿潰瘍が、分子標的薬の薬理作用による物であることを示し、報告した。、超音波にて診断した先天性皮膚血栓症を報告した。CD1a陽性肥満細胞腫の症例において、樹上の形態をとる肥満細胞が真皮に多数浸潤していることを示し、論文報告に携わった。また、角化症関連の報告として、セラミド代謝にPNPLA1が関連している事を電子顕微鏡下に解析し、論文作成に携わった。SDR9C7変異による葉状魚鱗癬の症例において角層間脂質が低形成であることを電子顕微鏡下に証明した。
2: おおむね順調に進展している
動物実験の準備を行っているが、施設の空きがなく、開始までに時間がかかった。その反面、臨床面からの英語論文作成が順調に進み、全体的に順調と判断した。
今後は動物実験の推進を進めるとともに、関連疾患の論文報告を随時行っていく予定である。ヌードマウスの背部表皮にimiquimodによる刺激を行い、乾癬様皮疹を誘発する。誘発された皮疹において、EGFRIの外用剤を塗布したグループで、より早く皮疹が軽快するかどうかを評価する。立体培養キットを用い、シート上で生体に近い三次元培養を行う。表皮バリアを超えて薬剤が浸透するかどうか確認する。また、皮疹部皮膚で炎症性分子のmRNAや蛋白の発現を評価し、炎症に対し抑制的に働いているかどうかを確認する。invivoでEGFRIが乾癬に対し抑制的に働く事を確認する目的で行う。次に、ヌードマウスの全身にimiquimod外用、全身性の乾癬様皮疹を誘発した上で、全身にEGFRIを外用した群としない群の、血清中のサイトカイン量を比較する。乾癬における全身性の炎症亢進状態に対しても、EGFRIが抑制的に働くかどうかを評価する。
細胞実験、動物実験の遅れ等により、今年度は研究発表として電子顕微鏡解析や関連疾患の論文報告を主として行ったため。
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