研究実績の概要 |
昨年度までの結果で大腸菌発現のⅦ型コラーゲン組み替え蛋白ではヒトラミニンβ3鎖全長、LE domain全長、そのフラグメント(LE domainを3分割)の組み換え蛋白との結合を確認することができなかった。そのため、哺乳細胞発現のⅦ型コラーゲン組み替え蛋白を作製するために新たにプラスミドを作成し、HEK293T細胞に遺伝子導入し、培養上清中に組み替え蛋白を回収した。この組み替え蛋白はヒトケラチノサイト培養上清中に存在するnativeなラミニン332と結合する事を免疫沈降法で確認した。次にLE domain全長組み替え蛋白、それを3つに分割したフラグメント蛋白(LE-1, LE-2, LE-3)を用いて、哺乳細胞発現VII型コラーゲン蛋白との免疫沈降法を行ったところ、その中で中央部分に該当するLE-2蛋白とVII型コラーゲンの結合が確認された。これにより、過去の報告でⅦ型コラーゲンとラミニンβ3鎖はβ3鎖のLE domainで結合する事が示されていたが、その反応ドメインが中央部分にあるところまでは絞り込むことができた。結合部位をより詳細に特定することは蛋白の相互作用のメカニズム解明に寄与するものであり、また粘膜類天疱瘡患者血中の抗体がどのように水疱形成を生じるさせるのかを調べる上で意義があると考える。 合成ペプチド等を用いて、さらにVII型コラーゲンとの結合部位を特定していく予定である。また、その結合部位を患者血中のラミニン332抗体が阻害するかどうかを今後検討していく予定である。
|