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2018 年度 実施状況報告書

統合失調症の難治症状を形成する核内構造変化の分子病態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K16367
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

塩飽 裕紀  東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任助教 (90747502)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード統合失調症 / 精神疾患 / DNAダメージ / クロマチン
研究実績の概要

統合失調症の病態仮説ついて、ドパミン病態・セロトニン病態・GABA病態などがあり、これらが複雑に絡み合って様々な症状を呈すると考えられる。しかし、現状の治療薬では十分に加療できない症状もあり、新しい病態仮説を想定して、検証する必要があると考えられる。本研究では新しい病態仮説として、DNA二重らせんに対するダメージやクロマチン構造の変化が蓄積することで、統合失調症の進行性の分子病態、すなわち残遺状態に至る分子病態になるという仮説を検証している。Phencyclidine, MK-801, methmphetamineの投与による統合失調症モデルラット及びモデルマウスを用いて、DNAダメージに関連した分生物学的・細胞生物学的解析を行っている。海馬のPV neuronにDNA二重鎖切断が起こっていることを示唆する所見を得ているが、さらに海馬以外の大脳皮質や視床・小脳など他の脳部位についての詳細を解析した。また他のNMDA受容体阻害薬であるMK-801や、統合失調症様症状を引き起こすドパミン受容体刺激薬であるmetamphetamineでも同様の現象が起こるかについて解析した。その結果、NMDA受容体阻害薬に比較的特異的、さらに海馬に比較的特異的にPV neuronのDNA二重鎖切断がみられることを見出した。その下流として、PV neuronの転写抑制が起こっていることや、またPV neuronにDNA二重鎖切断が起こりやすい素因となる遺伝子変化を見出した。またこれらは、NMDA受容体阻害薬を連続して投与することで、PV neuronのDNA二重鎖切断や、それに伴う転写抑制が進行することから、残遺状態へ進行する分子メカニズムの一つとして考えられた。これらは現在論文投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

論文投稿中で当初の予定年度内に論文発表ができなかったが、DNAダメージの蓄積と統合失調症の進行に関する分子メカニズムを明らかにしており、研究自体は順調に進展している。

今後の研究の推進方策

これまでに明らかにした研究成果を論文発表する。

次年度使用額が生じた理由

論文投稿中にあたり、論文完成までに必要な追加実験等に研究費が必要であり、その目的のために使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Donepezil により精神病症状を伴う重症うつ病エピソードが誘発された1例2019

    • 著者名/発表者名
      塩飽裕紀、田村赳紘、治徳大介、車地暁生、西川徹
    • 雑誌名

      精神科治療学

      巻: 34 ページ: 231-236

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Paroxetine ameliorates whole-body allodynia.2018

    • 著者名/発表者名
      Shiwaku H, Nishikawa T
    • 雑誌名

      Eur J Clin Pharmacol.

      巻: 74 ページ: 979-980

    • DOI

      10.1007/s00228-018-2438-0.

    • 査読あり
  • [学会発表] ドネペジルにより精神病症状を伴う重症うつ病エピソードが誘発された1例2018

    • 著者名/発表者名
      塩飽裕紀、田村赳紘、治徳大介、車地暁生、西川徹
    • 学会等名
      第114回 日本精神神経学会学術総会

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公開日: 2021-03-11  

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