研究実績の概要 |
昨年度作成した視線認知課題を用いて、自閉スペクトラム症(ASD)群8名、定型発達(TD)群13名の脳磁図(MEG)測定を行った。数値計算ソフトMatLab上で使用可能な画像解析ソフトSPM12を用いて、MEGで測定した磁場情報、MRIで測定した各個体の脳構造情報、さらにMontreal Neurological Institute(MNI)標準脳の情報をコンピュータ上で統合・解析し、分布電流源推定を行い標準脳上に電位情報を展開した。この被検者のうち代表的なケースのパイロットデータの解析結果を提示し、作成した視線認知課題がASD群とTD群の差異が検出可能であると確認したことを報告した(村松, 杉本, 吉永ら. 小児の精神と神経60(4):299-307. 2021)。 さらに、MatLab上で使用可能な画像解析ソフトBrainstormを用いて、両群の統計的差異を検出できる時間帯と部位を特定した。複数の時間帯および部位において、TD群が優位に高い活動性を示しているところと、逆にASD群が優位に高い活動性を示しているところが検出されており、今後、論文化して報告予定である。 反復常同性課題については、これまで作成していた視覚刺激課題を応用して、インターネット・ゲーム障害(IGD)群と健常対象(HC)群の被検者にMEG測定行う研究に引き継がれた。IGD群に対してはグループ心理療法による治療群と待機群に無作為割り付けを行うRCTを行い、治療群と待機群の比較、治療群の治療前後比較、IGD群とHC群の比較などを行う計画である。
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