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2021 年度 実施状況報告書

ギャンブル障害のコネクトームについて

研究課題

研究課題/領域番号 17K16376
研究機関京都大学

研究代表者

鶴身 孝介  京都大学, 医学研究科, 助教 (20760854)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード神経科学 / ギャンブル障害 / 依存症 / 嗜癖 / 行動嗜癖 / MRI
研究実績の概要

ギャンブル障害 (Gambling Disorder: GD) 患者群及び健常対照群のリクルートを行った。各被験者に対し、心理学的検査、行動経済学を取り入れた行動実験を行った。続いて、大学設置のMRI装置にてT1強調3D画像、拡散テンソル画像、および行動経済学課題を用いた脳機能画像、安静時の脳機能画像を撮影した。
これまでの成果をもとに、行動嗜癖とドーパミン機能をテーマとした総説のGDに関連する章を分担執筆し、英文誌に受理されている。また、GD患者の安静時脳機能画像から、機械学習を用いて疾患の特徴を判別するバイオマーカーを開発し、これも英文誌に受理された。この他に行動経済学における曖昧さ回避をテーマとした課題を用いた脳機能画像研究の予備的な成果も発表している。この研究では報酬額と確率が明示的に提示された2つの選択肢から成る「リスク条件」、報酬額と確率が明示的な選択肢と報酬の額は明示的だが確率は不明な2つの選択肢から成る「曖昧条件」における意思決定時の脳画像を取得した。課題中の選択行動からリスク回避指数及び曖昧さ回避指数を算出し、課題実施中の島皮質及び扁桃体における脳活動を、専用ソフトウェアを用いて解析し、それらの相関を検討した。健常対照群では曖昧条件における左右の島皮質における脳活動が曖昧さ回避指数と正の相関を示した。一方GD群では曖昧条件における左右の扁桃体における脳活動が曖昧さ回避指数と負の相関を示した。さらにGD群では曖昧条件における右扁桃体における脳活動が罹病機関と負の相関を示した。このため、同じ曖昧さ回避でもGDと健常群で神経基盤や意味付けが異なることが示唆された。
一方で、一般向けのWebを介した講演も2回行うなどアウトリーチにも尽力した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス流行に伴い、その対策に多くの労力を割かれることとなった。さらに、本学の指針が厳格であったため、被験者リクルートの推進に困難をきたし、既存のデータ整理などが業務の中心となり、研究遂行にやや遅延を来たした。一方で、分担執筆した行動嗜癖に関する英文総説や、整理したデータの中からギャンブル障害の安静時脳機能結合を用いた機械学習バイオマーカーに関する成果を英語論文化することに成功し、曖昧さ回避を検討した行動経済学的機能的MRI研究の予備的なデータを発表した。

今後の研究の推進方策

やや遅れが生じているデータ取得を完了し、得られたデータを解析する。その結果をまとめて、学会発表、論文受理を目指す。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス流行に伴い、その対策に多くの労力を割かれることとなった。さらに、本学の指針が厳格であったため、被験者リクルートの推進に困難をきたし、既存のデータ整理が業務の中心となり、研究遂行にやや遅延を来たした。引き続き、実現可能な形で研究を推進し、リクルート費用や周辺物品をはじめとする各種実験遂行に必要な費用や学会発表、論文投稿に必要な費用に充当する予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Life Habits and Mental Health: Behavioural Addiction, Health Benefits of Daily Habits, and the Reward System2022

    • 著者名/発表者名
      Fujiwara Hironobu、Tsurumi Kosuke、Shibata Mami、Kobayashi Kei、Miyagi Takashi、Ueno Tsukasa、Oishi Naoya、Murai Toshiya
    • 雑誌名

      Frontiers in Psychiatry

      巻: 13 ページ: 813507

    • DOI

      10.3389/fpsyt.2022.813507

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Development of a classifier for gambling disorder based on functional connections between brain regions2022

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi Hideaki、Yahata Noriaki、Lisi Giuseppe、Tsurumi Kosuke、Yoshihara Yujiro、Kawada Ryosaku、Murao Takuro、Mizuta Hiroto、Yokomoto Tatsunori、Miyagi Takashi、Nakagami Yukako、Yoshioka Toshinori、Yoshimoto Junichiro、Kawato Mitsuo、Murai Toshiya、Morimoto Jun、Takahashi Hidehiko
    • 雑誌名

      Psychiatry and Clinical Neurosciences

      巻: 76 ページ: ahead of print

    • DOI

      10.1111/pcn.13350

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 行動嗜癖の神経基盤2021

    • 著者名/発表者名
      鶴身孝介
    • 雑誌名

      認知療法研究

      巻: 14 ページ: 158-160

  • [雑誌論文] ギャンブル障害2021

    • 著者名/発表者名
      鶴身孝介
    • 雑誌名

      Clinical Neuroscience

      巻: 39 ページ: 1010-1012

  • [雑誌論文] ギャンブル障害に対する薬物療法、心理療法2021

    • 著者名/発表者名
      鶴身孝介
    • 雑誌名

      臨床精神薬理

      巻: 24 ページ: 1233-1241

  • [学会発表] ギャンブル依存症の神経メカニズム2022

    • 著者名/発表者名
      鶴身孝介
    • 学会等名
      令和3年度 京都府依存症患者及び家族に対する早期発見・早期支援体制づくり事業
    • 招待講演
  • [学会発表] 脳画像研究から見たギャンブル障害の病態生理2021

    • 著者名/発表者名
      鶴身孝介
    • 学会等名
      第117回日本精神神経学会学術総会
  • [学会発表] 行動嗜癖の神経基盤2021

    • 著者名/発表者名
      鶴身孝介
    • 学会等名
      2021年度アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会
  • [学会発表] ギャンブル障害における曖昧さ回避の神経基盤2021

    • 著者名/発表者名
      鶴身孝介、藤野純也、竹内秀暁、村尾託郎 、水田弘人 、川田良作 、村井俊哉 、高橋英彦
    • 学会等名
      2021年度アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会
  • [学会発表] 依存症を脳科学からみる2021

    • 著者名/発表者名
      鶴身孝介
    • 学会等名
      大阪府依存症早期介入・回復継続支援補助金事業 市民研修会
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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