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2017 年度 実施状況報告書

抗NMDA受容体抗体がうつ病の予後経過に与える影響の検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K16377
研究機関岡山大学

研究代表者

酒本 真次  岡山大学, 大学病院, 助教 (30747093)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードNMDA受容体抗体 / うつ病 / 双極性障害 / 神経突起伸長 / 中心体機能障害
研究実績の概要

岡山大学病院を受診した精神疾患患者のうち、同意が得られた患者から血液または脳脊髄液を採取し抗NMDAR抗体を同定し、抗体の有無または抗体価を測定した。これまでに同意が得られた112名の精神疾患患者を対象に抗NMDAR抗体の有無を調査したところ、初診時診断が双極性障害13名中2名(15.4%)、統合失調症圏38名中1名(2.6%)の患者において、髄液検体で抗NMDAR抗体が陽性であった。そのうち2名は血清においても陽性を確認した。抗NMDAR抗体陽性患者は、向精神薬は無効であり免疫療法を受け、抗体の陰転化と精神症状の改善度には一致が見られた。また、うつ病患者31名やその他の精神疾患患者30名は髄液または血清で陰性であった。今後もサンプルを増やし知見を蓄積する予定である。
また上記臨床研究的検討から得た知見にもとづき、基礎研究アプローチにより、免疫学的・炎症学的な観点で、抗NMDAR抗体の影響を、細胞、げっ歯類モデルを用いて、分子・細胞・回路・生理・行動レベルにおいて解析した。Wister妊娠ラットより胎児を抽出し大脳皮質初代培養細胞を作成し、Day In Vitro (D.I.V.) 初日に抗NMDAR抗体(①陽性患者血清、②市販のウサギ抗NMDAR 1A抗体)を加え、D.I.V.3で神経突起伸長、神経遊走制御に重要である中心体の動態を検討したところ、①、②で処理した神経培養サンプルともに、神経突起の伸長抑制、中心体の機能障害がみられた。また抗体を除去したところ、②で処理した神経細胞においてのみレスキューされ、患者抗体では不可逆であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定した計画に沿って進展していると考える。

今後の研究の推進方策

臨床研究的検討においては、今後もサンプルを増やし知見を蓄積する予定である。また、臨床評価のドメインとして、患者ごとに①症状の重症度、②認知機能、③社会性、④治療反応性をディメンジョナルに評価し、抗NMDAR抗体の有無・抗体価が関連するかを、背景要因・環境要因(精神疾患の家族歴、物質依存の有無、パーソナリティ傾向など)を加味して解析する予定である。
基礎研究的検討においては、神経細胞をD.I.V.28まで培養し、樹状突起、シナプス、スパイン形成に対する、抗NMDAR抗体が与える影響について検討中である。また、子宮内胎生期マウス脳に抗NMDAR抗体を注入することで、in vivo脳発達における、抗NMDAR抗体の影響を検討する予定である。さらに、これらのマウスを用い、精神疾患関連行動学的各ディメンジョン(不安、抑うつ、情動、認知機能など)について解析し、また免疫療法、向精神薬投与の効果を検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

H29年度は、基礎研究において、細胞実験が主体であり動物実験には十分に着手できておらず、1,000,245円をH30年度に繰り越す形となった。H30年度には、cell based assay法を継続で行いつつ、細胞実験、遺伝子実験、動物実験などを計画しているため、次年度使用額を併せて計画的に使用していく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 精神疾患における抗NMDA受容体抗体保有率の検討2018

    • 著者名/発表者名
      酒本真次
    • 学会等名
      第114回日本精神神経学会学術総会

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公開日: 2018-12-17  

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