研究課題/領域番号 |
17K16377
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
酒本 真次 岡山大学, 大学病院, 助教 (30747093)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 抗NMDAR抗体 / 脳炎 / 気分障害 / うつ病 / グルタミン酸 |
研究成果の概要 |
うつ病の病態機序においてN-methyl-D-aspartate受容体(NMDAR)の関与が指摘されるものの、うつ病患者における抗NMDAR抗体の保有率に関する研究は不足している。本研究において、うつ病を含む気分障害患者の血清・髄液中の抗NMDAR抗体保有率を調査したところ、63名中4名(6.3%)で陽性であり、また抗体価と精神症状に弱いながら相関がみられた。初期診断で気分障害と診断される患者の中に、抗NMDAR抗体脳炎患者が混在している可能性が明らかとなり、両疾患がグルタミン酸神経伝達の機能障害という共通の病態機序を持つためであることが示唆された。
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自由記述の分野 |
精神病態学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
この研究により、うつ病という大きな社会的損失をもたらす精神疾患に対し、自己免疫という観点から生物学的基盤の解明と、それに基づいた革新的治療をもたらす可能性が示唆された。たとえば、抗NMDAR抗体脳炎に対して有効な抗炎症療法、抗免疫療法、抗腫瘍療法がうつ病患者に対しても有効となる可能性も考えられる。また、向精神薬や電気痙攣療法に反応不良な難治性うつ病患者においても抗NMDAR抗体を同定することで、新たな治療選択肢が増える可能性もある。以上のことから本研究は、うつ病の病態解明のみならず、うつ病患者に対する新たな治療法開拓の可能性を持った、社会的意義の大きな研究であると考える。
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