研究課題
神経発達障害の一種である自閉症スペクトラム障害(ASD:Autism Spectrum Disorder)を併発しやすいとされる神経線維腫症1型(NF1)の患者由来の線維芽細胞より作出したiN細胞(induced-neuronal cell)の網羅的遺伝子発現解析を行い、その中でMEX3Dと呼ばれる遺伝子の発現が低いことを初めて発見した。またMEX3Dの分解標的としている可能性のあったFOS mRNA発現量が高いこと、一方でMEX3Dの分解標的として知られているBCL2 mRNA発現量には影響がないことが明らかにした。NF1ノックアウトマウスの神経幹細胞ではこのBCL2の発現量が増加していることが知られており、iN細胞への誘導後早期(5日目)ではBCL2遺伝子の発現量が高いことを示した。このことより従来iN細胞ではニューロンの発達の経過を観察することは出来ないとされてきたが、早期iN細胞の有用性の可能性を提唱した(Sagata et al., 2017 Sci Rep.)。
2: おおむね順調に進展している
年次計画に挙げていた三項目「ASD及びその周辺疾患患者の線維芽細胞の供給体制」、「iN細胞の作製」「発達期iN細胞の樹立」については全内容の履行には至らなかったものの、すべての項目に関わる形で神経線維腫症1型についての研究・報告を果たせた。
当初の計画通り、抑制性iN細胞の樹立・ASDとその周辺疾患患者のiN細胞の包括的表現型解析を行う。また同時に早期iN細胞の詳細な評価を行う。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Sci Rep.
巻: 7 ページ: -
10.1038/s41598-017-14440-7