研究課題/領域番号 |
17K16390
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
千葉 悠平 横浜市立大学, 医学研究科, 客員講師 (50722500)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | NMDA受容体抗体 / 神経免疫 / MRI / DTI / 橋本脳症 / NPSLE / アルツハイマー型認知症 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、COVID-19感染症流行のため、緊急事態宣言の影響や感染防止の観点から、申請者が大学に出勤する日数の減少や、患者の来院回数の減少があり、新規リクルートはほとんど行うことができなかった。MRI画像解析については、米国アルツハイマー病データベースであるADNIのデータを利用して健常者データを用いて、当院神経免疫外来通院中の自己免疫性精神病患者についてデータ解析を行った。結果、回復が遅れている患者においては、回復がみられた患者と比較して、脳の複数の部分で、MD値が大きくなっていることが明らかとなり、脳微細構造の異常を指摘していると考えられた。この結果は、令和3年度に行われる、日本精神神経学会にて、シンポジウム等で、発表する予定であり、その後、論文投稿を予定している。 また、今までのデータを解析し、甲状腺抗体陽性の精神病患者において、抗NMDA受容体抗体が、認知機能と関連する可能性や、甲状腺抗体の有無によって、髄液中の抗NMDA受容体抗体の抗体化が変化していることを明らかにし、論文発表を行った。 副次的であるが、ADNIのデータが利用できたことから、コロナ禍でも、研究推進の可能性を探り、アルツハイマー型認知症患者における免疫学的背景を検討した。結果、アルツハイマー型認知症の進行に、IL-6Rや、MMP-9といった免疫関連物質が関与していることが明らかとなり、このことを、論文投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症流行による影響で、令和2年度は、研究推進が滞ってしまったが、今までのデータを整理して、論文投稿を行うことができた。また、米国データベースを用いたデータ解析研究を行い有益な結果を報告している。これまでのデータは2021年9月に行われる精神神経学会シンポジウム等で発表の予定であり、進捗はやや遅れているものの、概ね目標は達成していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ADNIデータベースでは、MRIデータ以外にも、血清や髄液のバイオマーカーの解析を行うことができた。今後は、自己免疫性精神病患者に対しても、MRI,血液髄液バイオマーカーを絡めて解析を行うことで、神経炎症と神経変性との違いや共通点を明らかにし、臨床研究の強みとして治療の可能性についても検討していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は、コロナウイルス感染症流行の関係で、患者の評価などが行われず、抗体測定などを行うことがなかった。また、学会もWeb開催になり、費用もかからなかったため、残金が発生した。 令和3年度も、コロナウイルス感染症の影響で、研究推進が遅れる可能性があるものの、最終年度であり、データの取り残しがないように検査を行うことと、多くの学会発表や、論文投稿などを行うことで、残金をすべて使用する予定である。
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